スガショー夢

□拝啓、美緒様が構ってくれません。
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「ああー、だから、ウチはピンクのが良かった…てか似合ってたと思うよ、筵可愛かったから、ね?」



僕は今、腹をたてています!
何でなんて、せっかく遊びに来たのに、電話ばっか。
しかも可愛いとか似合ってたとか僕が居る中なに云っちゃってるんですか!

女の子の前で他の女の子の話はして欲しくない。


つってもまあ自分達の関係は先輩と後輩。
学校の帰りにばったりと会って、流れで家にお邪魔させて頂きました。
ふんふん、でも途中で電話です。


酷いと思いませんか。



「あはは、本当だってば、可愛いって」



自分がどんどん機嫌が悪くなるのが分かる。
だって僕は美緒さんに恋をしているから。
美緒さんが大好きだから。


構って欲しくて僕は、相手の頬をつついてみた。
しかし何事も無かったように直ぐに電話に戻ってしまう。
あぁあ、酷いよう。



「美緒さんみーたん紅葉様ぁ」



ついついと相手の服を掴んで引っ張ってみた。
効果なし。
頭を撫でてみた。
効果無し。
指に一本ずつ触ってみた。
効果無し。
笑ってみた。
効果無し。


最終手段。
相手に、正面から抱き付いてみた。



「うわッ!!」



効果無し…筵引かれた。
うん、当たり前だね。
ごろんと倒れた美緒さんのせいで自分が押し倒したみたいになっちゃったぜ。

いや、間違いじゃ無いんだけどね。



「ぁあいや、何でもない、ウチが転んだだけ」



それに、倒されたまま抵抗もなしにそのまま電話するし。

本当に悲しくなって、すっと離れる。
相手はきょとんとしたみたいだったけど、相変わらず。


自分だけに訊こえるように小さく呟いた。



「美緒さんのばか…好きなのに放置だなんて………構ってよ…」

「ぇ?」



どうやら相手に訊こえてしまったみたいで。
目を丸くしていた。



「ッ…」



恥ずかしくなって帰ろうと腰をあげた時、相手も起き上がってそれを阻止する。

腰に腕が回って、きゅっと抱きすくめて来た。



「今嬉しい事訊こえたなぁ、だから、まだ帰っちゃだめ」



耳元で低く囁かれ、ぶるっと身体が跳ねる。



「じゃ、ノブも早く彼女つくりなよ」

「ん?」



あれまてまて今彼女つった?
いや、ノブ……?



「じゃあね〜。………さあ、詳しく教えてよ」






そう云って、強く強く抱き締められた。




電話の相手はどうやら、飯田利信さんだったみたいです。






end.

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