復活夢2

□夜道の中で
1ページ/1ページ


補習があって今日も帰りは遅くなる。
外真っ暗だし、こんな外を歩きたくはない。

でも、俺の好きな人が一緒だから今日は直ぐ時間が経過した気がした。
嬉しいな。
見てるだけで時間が過ぎて行くなんておかしいのかな。


取り敢えず幸せだった時間は終わって片付けをする。
筆記用具を鞄にしまえば俺の好きな人…高坂なつめちゃんが、先に用意を終えたのかこちらに寄って来た。



「あのねツナくん、方向一緒だから、良かったら一緒に帰らない…かな」

「ぇッ…?」



嘘!?なつめちゃんが俺なんかと帰ろうとしてくれてる!?
…嬉しい…すっごく嬉しい…!

俺は直ぐに片付けを済ませば相手の目を見る。
そして多分にやけてるんじゃないかと心配しながら云った。



「ぉ、俺なんかでよかったらいいよ!一緒に帰ろうよ」

「え…えへへ、有り難う!帰ろう!」



なつめちゃんの顔が目茶苦茶嬉しそうに見える。

嬉しい…たとえそれが帰る人がいないからたまたまそうなったとしても、喜んでくれてるだけで最高。


もう誰もいなくて、俺たちの靴しか残っていない下駄箱を過ぎれば外は真っ暗で冷たい風が身体に当たって痛かった。

帰る時俺達は森を抜ける為何時も怖くてびくびくしてたけど、今日はなつめちゃんがいるし、カッコいい処見せたい。
相手が怖くないなら意味ないけど取り敢えず相手の表情を伺って見る事にする。



「…ッ」

「(ぇ?…もしかして超怖がってる…?)」



彼女の顔は眉をひそめていて、涙目になりながら制服をぎゅっと握り締めていた。

そのとき、森の木陰からバッと蝙蝠が飛びだして来た。



「狽ノッ…にぃやぁあああぁああッッ!!!!」

「買ーなつめちゃ、わッ!?//」



その蝙蝠よりも素早い動きで彼女は、俺にぎゅっと抱き付いて(と云う名のタックルをして)来た。
いきなりでびっくりしてよろめくもふと見た彼女はマジ泣きで、ちょっと可愛いだなんて思ってしまう。



「なつめちゃん、コウモリだよ、怖くないから泣かないで?」

「…ふぇ、だって、びっくりして…ごめん、なさッ」



足をがくがくさせながら怖いだろうに離れようとする相手を見たら、恥ずかしいなんて考えずに離れようとする相手をぎゅっと抱き締める。
そして勇気を出して耳元で囁いてあけた。



「大丈夫、俺が守ってあげるから、ずっと何時でも守ってあげる…だから、泣かないで」

「ぁ…」



嫌われる、でもお構いなしで相手の唇にキスを落した。






夜道の中で



(君に、告白した)
(卑怯だと思うけど、)
(だけど今伝えたかったんだ)







俺達は帰り際に少し大人になった。
好きな人同士のキスって、こんなの気持ちよかったんだね。






end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ