復活夢2

□ポッキー
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「はい、あーん」

「ん?…サンキュ」



春の温かい太陽の中。
私達ヴァリアーは今隊員総出でお花見会。

と云ってもフランとレヴィは任務だから途中参加って事になってるけど。
でも、始まったばかりだからまだ帰ってこないだろう。


私はポッキーを一本ベルの前に差し出し、彼の口まで運ぶ。
緑色をしたその抹茶の普通のポッキーよりは結構太いそれは、私の最も愛するポッキー。


彼がそれをごくりと飲んだ所でスクアーロの肩をつんつんとつつく。
今の私は誰より悪巧みをしてる顔だ。



「どうしたぁあ?」

「ねぇねぇ訊いてよ、ベルがね、フランを食べたんだよ」

「「ブッッッ!!」」



ふふん。
多分もう皆全てを理解したんじゃないかな。

さっき彼に食べさせたのは紛れもなくポッキーで、しかしフランと云うのも嘘ではなく真実。


だって、このポッキーの名前はFranだから。
元々これが好きで食べたいってのもあるがやはり今回、このポッキーを買ったのはベルにこれをしたかったから。

今回は私のとっておき大好きな抹茶味なんだぞ!
フラン色だったんだぞ!
ふはははは有り難く思えよ!



「で?何お前俺とフランがあはんうふんでもしたと思ってんのか?」

「おま、ホモだったのかぁあッ」

「違うッつーの!」

「近寄るなぁあこのド変態!お前最近女連れてねぇと思ったら男を掘ってたのかぁあッ」
「違ぇーよ!!!!?」



ふふふ、良い具合にごちゃまぜになりますたね!

私はもう一本取り出せば、それをスクアーロの口まで持っていく。



「?くれるのかあ?」

「うんあのね、良かったらたべなさいな」

「ミーにも良かったら下さーい」

「いいよー、はいどうぞ」



後ろから声が訊こえたと思えば、顔の横から手が伸びてくる。
カモが増えるなら誰でもいいやとか思いながらなんとなく渡せば先程の声に疑問が上がる。


あの男にしては高い声、やるきの無さそうな間延びした口調。
そして次に後ろにのし掛かって来られたために見えた風に揺れるあのサラサラのエメラルド。

あ、やべこれもしかしてご本人登場じゃね?


ハッとすれば、ポッキーを受け取ったその手は私の口元まで行く。
緑のポッキーの先っちょは私の唇にあたった。



「ッフ、フラン?」

「はいはーい、因みになつめはフランとキスした事ありますよー」

「な、ぅゎぁああ!!?」



響く声は紛れも無く私の物で。
気がつけば、そのポッキーはフランの唇まで移動していた。



「因みにミーはなつめと間接ちゅー中ー」

「お前ら…やっと進展したんだな」

「はーい、今日やっと間接キスまで行きましたー」

「は?お前今自分でキスした。って云ってたじゃねぇか」



何も云えなくなってしまった自分の変わりに、多分私の手に握られているポッキーの箱を見たであろうフランが説明を始めた。



「ミーは自分とキスしただなんて云ってませんよー?フランとキスした。と云っただけですー」

「?だからフランだろ、お前」

「あーもーこれだから堕王子はー」

「あ゙?」



ギッとフランを睨み付けている(気がする)ベルに見えるように、彼は私の手にあるポッキーの箱を取り上げた。

そして、スクアーロとベルは溜め息を付くのだった。



「ッたく…なつめの奴んな事考えてやがったのかよ」

「俺も危うくそうなる所だったぜぇ…」

「ほらー、ちゃんと謝って下さーい」

「ぅう…ごめんね…?」

「「(可愛い…)」」



てかなんで任務早く終わってるのさー。

ムス、としながらポッキーをかじると、何やら見えた妖艶な笑い。



「ぁー、なつめだけフランを食べるとかずるいですー。ミーもなつめを食べまーす」



この後、唇にやわらかい感触がしたのは、幻覚でもなんでもない。














ポッキー



(同じ名前のその彼は)
(このお菓子と同じでとても甘くて)
(とても幸せな気持ちになった)















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