他作品

□surpriseは飛び切りの
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今日は3月1日。
僕の誕生日なんです!

そしてそして今日は僕の地元名古屋で僕の彼氏の森翼さんのライブがあるんです!

まさか…誕生日に合せてライブを開いてくれるとは思わなかった。
翼さんは、何時もライブとかで忙しくて、ちょっと長いお休みだとか、名古屋に仕事が無い限りなかなか会えないから幸せ。


前からこの日は空けといてって云われてたから、空けてたら翼さんは昨日いきなり手紙を送ってきて、今日のライブのチケットをくれた。

うふふ…!楽しみ//



「皆、今日はライブに来てくれて有り難う。これから楽しんで行ってな」



ライブが始まって、回りのお客さんが歓声をあげる。
何回体験してもこの瞬間はあまり好きではない。

翼さんは、僕の好きな曲を順番で歌ってくれる。



「今日は、何だか何時もと違うねぇ」

「なんだか心が入ってる…みたいな…」

「でもなんだか緊張してるようにみえるよぉ」



曲の合間合間に近くのお客さんが口々に放つ言葉。
確かに何だか今日はいつもより少し違う感じがした。

お客さんが云うように、緊張してる。


どうかしたのかなと思いながらふと相手の顔を見ると、偶然なのか必然なのか、翼さんと目があった。

やっぱりカッコいいな。
そんな事を思いながら手を降ろうと右手をあげると、翼さんはパッと目を逸してマイクを握り締めた。

そして、スタッフさんに目配せをして、頷けばパッと電気が落ちて、翼さんだけにライトが当たった。



「皆、今日は俺の大切な人の記念日なんよ」

「ぇ…ッ?」

「その人、今日誕生日やねん。此処に住んでるからライブしたんだけど、皆も一緒に祝ってくれへん?」



皆もたいがい驚いているようだが一番驚いてるのは自分。

だってそうでしょ?
ファンの中には僕以外にだって本気で翼さんが好きな人がいるんだから。
そんな事したら、ファンいなくなっちゃうよ?



「もしかして、彼女かなぁ…?」

「いや翼ちゃんはアタシの!」



いやお前のじゃねぇよ。
…じゃなくて、ほらやっぱり云ってるよ。

もし、バレたとしたら…?
叩かれるよね、きっと。


怖くなってその場から抜け出そうとしたら、翼さんはステージから降りて、僕の元までやって来た。
そして、左手を差し出してこちらを見つめる。



「おいで?大切なお姫様」

「ぁ、えと…」

「早く」



こちらが手を伸ばすよりも先に、翼さんは、手を握って強く引いてくる。
そして勢い良く走って行けばステージに上がった瞬間にクラッカーが鳴り響いた。



「これが、俺の大切な人や」

「ぇ?ぁ、」

「夏海空って云うんやけど…」

「どんな関係なのぉ?彼女だったら嫌だぁ!」

「そうだよ彼女なら素直に喜べなぁい!」



やっぱり。
数人の人がこちらを強く睨んでる。
涙目になり視界が二重になれば、それに気が付いて、相手は口を噤んだ。



「ぁ…これは妹だから心配せんでええよ?」
「ぁあやっぱり!」

「良かったぁ」

「じ、じゃあ皆で祝うで、」



再び会場が歓声に包まれる。
ふと時計を見ればもう終わりの歌。

最後は、皆で一緒に歌を歌って拍手に包まれながら幕が降りた。



「…夏海空、ごめんな?本当は、彼女ってきちんと云いたかったんだけど、」

「大丈夫ですよ、分かってますから」

「…夏海空、こっち向いて?」

「?なんですか?」



軽く首を傾げれば、相手は近くの壁に押し付けて、顎を上げられる。



「口、ちゃんとあけてな」

「へ!?ちょ、んんッ//」



直ぐに唇に柔らかい感触があった。
優しく押しつけられた後に、下唇が食まれる。

びっくりして空けた口の中には直ぐに舌が入ってきた。



「ん、ふぁ、」

「ん、」



しばらくして離れた唇は、つり上がり、強く抱き締められる。



「誕生日、おめでとう」

「…ぁ、有り難う、御座います…//」

「た…誕生日、プレゼント」

「ぇ!?有り難うござ、ぇえ!?」



渡されたのは、高そうな指輪。
眉を下げて、しっかりした視線で見つめられた。


「結婚…指輪。俺と結婚してください」

「ッ……!//」






答えは勿論……?













surpriseは飛び切りの



(今度は誕生日に俺にキスしてよ)
(へ?どういう意味ですか?)
(今度はライブ中にキスしてよ)









恥かしくて出来ないよ…!//






end.

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