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□雨で君は夢をみせた
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サーッと雨が降りそそぐ。

今部活が終わって着替えていたら教室にアメちゃんを置いて行ったのを忘れて取りに向かってる。

いや別に飴なんぞ家にも沢山あんでええんやけど、先生にバレたらあかんからこうして取りに帰ってるんや。
岳人達には先帰れと伝えてあるし、ゆっくりと教室へ向かってる。


途中ジュースのんどったらまさかの雨が降ってきた。
ま、折り畳みがさ持ってるから別にいいんやけどな。


教室に人を見つけて、扉の前で立ち止まった。



「おぉ、あれは夜咲さんやな」



そこに居た人物は俺の思い人夏海空。
こりゃ偶然なんだかどうか。

机に頬杖ついてぼーっと窓の外を眺めていた。



「夜咲さん、帰らへんのんか?」

「?」



静かに中に入って声をかけると、彼女はこちらを向いた。
そして机に出してあった紙を裏返すと、話を続ける。



「傘忘れちゃって、さ。忍足くんは帰らないの?」

「嗚呼忘れ物取り来ただけや、すぐ帰んで」

「ふぅん」



そう云いながらアメちゃん袋を鞄にしまうと、相手がこちらを向いて首を傾げる。



「?不要物だなんてらしくないね、」

「アメちゃん好きやからな、ほれ、」

「わ、有り難う」



さほど距離は無かったので飴を二つ取り出して一つを投げ掛けると相手は見事にキャッチする。
こちらは飴を口に含むと又相手も同じように口に入れた。



「ん、何なら家まで送ったるで、相合傘でええんなら」

「え?いいの?」



二重の意味で良いのかと質問したらしく少し目を輝かせて居る。
そしていいよと返事をすれば嬉しそうに微笑んでくれた。



「ほないくで、どうぞお嬢さんお手をどうぞ」

「あ、有り難うございます…///」



少し照れながら手を取る相手の手の甲にキスを落とせば、相手の顔はぼふっと赤くなる。



「な、なな、///」

「……夜咲……夏海空の事が好きみたいや、」

「!?//」






そして二人は一つの傘で帰る。
手を繋いで。




もう、答えはわかるよな?









えんど

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