main <HAKUOKI>
□四章 想慕の猫
1ページ/18ページ
ここ(新選組)に来てから一週間ほど経ったある日のこと。
組長補佐としての仕事がある私と違い、千鶴は一日中部屋の中で過ごす、という日々を送っていた。
だから必然的に”外で父様を探したい”という願いが強まっていて・・・、
「潤南は、さ。巡察とかで外に出られるんだよね」
話題を変えるように千鶴が言った。
「うん。まあ、一君を補佐するのが私の仕事だしね」
事実、この一週間という短い期間の中でも、一君と背を預け合った件を含めると、もう三件もの事件を処理している訳で。
傭兵として雇われていたら、随分と多額になっただろうな〜、なんて思っている。
予想だが私は、この新選組は報酬よりも仕事量の方が上回る性質だ、と最早確信していた。
はあ、と私が溜め息を付いた事に気付かなかったらしい千鶴は、
「いいなあ、潤南は。私も外に出られたら父様を探せるのに」
と言った。
「外に出られると言っても私だってずっと監視されてるんだし?おまけに過密労働もいいところだよ」
「巡察終わった〜、って思ってたら隊士の稽古とかその他諸々が待ってるんだもん」
「多分ね、私、二ヶ月ちょっとで干からびると思う」
妙に現実的な期日を、切羽詰った顔で言う。
そんな私を見て、ははっ、と笑った千鶴は
「そうだよね、私も皆さんを困らせないためにも静かにしてないとね」
吹っ切れた、とまで行かないが先程よりも幾分かすっきりした面持ちで言う。
そう話している間に、広間に着いていた。
「あ、潤南に千鶴!遅かったじゃん。どうかしたのか?」
相変わらず元気に藤堂が言う。
「ううん、何も。一君に頼まれた書類整理してたら、遅くなっちゃってさ」
「そっかぁ。お前も大変だな・・・」
「・・・・・てか、潤南」
彼は真剣すぎる
否、険しすぎる顔で私に向き直った。