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□四章 想慕の猫
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ここ(新選組)に来てから一週間ほど経ったある日のこと。






組長補佐としての仕事がある私と違い、千鶴は一日中部屋の中で過ごす、という日々を送っていた。


だから必然的に”外で父様を探したい”という願いが強まっていて・・・、


「潤南は、さ。巡察とかで外に出られるんだよね」


話題を変えるように千鶴が言った。


「うん。まあ、一君を補佐するのが私の仕事だしね」


事実、この一週間という短い期間の中でも、一君と背を預け合った件を含めると、もう三件もの事件を処理している訳で。


傭兵として雇われていたら、随分と多額になっただろうな〜、なんて思っている。


予想だが私は、この新選組は報酬よりも仕事量の方が上回る性質だ、と最早確信していた。


はあ、と私が溜め息を付いた事に気付かなかったらしい千鶴は、


「いいなあ、潤南は。私も外に出られたら父様を探せるのに」


と言った。


「外に出られると言っても私だってずっと監視されてるんだし?おまけに過密労働もいいところだよ」


「巡察終わった〜、って思ってたら隊士の稽古とかその他諸々が待ってるんだもん」


「多分ね、私、二ヶ月ちょっとで干からびると思う」


妙に現実的な期日を、切羽詰った顔で言う。


そんな私を見て、ははっ、と笑った千鶴は


「そうだよね、私も皆さんを困らせないためにも静かにしてないとね」


吹っ切れた、とまで行かないが先程よりも幾分かすっきりした面持ちで言う。


そう話している間に、広間に着いていた。





「あ、潤南に千鶴!遅かったじゃん。どうかしたのか?」


相変わらず元気に藤堂が言う。


「ううん、何も。一君に頼まれた書類整理してたら、遅くなっちゃってさ」


「そっかぁ。お前も大変だな・・・」


「・・・・・てか、潤南」


彼は真剣すぎる


否、険しすぎる顔で私に向き直った。
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