long -届け-
□零 -それぞれの悲-
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「(…!だ、誰だあいつ!)」
漆黒の少年は、まだ手に馴染まないクナイを握り直して、挑んだ。
?「!?お、お前誰だっ!」
「…?わたしは、いざなみキサラだよ。きみは?」
?「えっ……!」
「なんで、おどろくの?だってきみが聞いた…?」
?「(こ、こいつ…。)」
このとき
やわらかに微笑む潤白の姫に、彼は漆黒の毒気すら抜かれてしまった。
サスケ「…うちはサスケ。」
「…!よろしく、サスケ!!」
クナイごと、ポケットに隠した手のひらは
いつの間にか、
彼女の手の中に。
【ゴーインな奴。】なんて強がるより先に、
漆黒も
笑ってしまうのだった。
―――――
しばらく日は流れ
らしくなく涙を見せた潤白に、漆黒はつぶやく。
サスケ「お前みたいな眼、初めてだ…。眼は、黒いんだって、思ってた。…それに、今日は。」
まだ小さな手は、雫の流れをせき止める。
サスケ「…つやつやだ。いつもより…、もっと。」
「!」
「サ、スケも…。つやつやだよ。」
―――――
別れ際
微笑みは、白と黒のふたりを包み込んでいた。
「こころの礎」