田舎姫
□第十四話
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『琴音ちゃん、好きだよ。』
『私も、総司さんが好きです。』
そして、二人は見つめ合うとそのまま口づけを交わした。それは段々と濃厚なものとなり、総司はついに琴音を押し倒し、彼女の制服に手をかけた。
『琴音ちゃん、いい?』
『総司さんなら、いい・・・です。』
総司は琴音の返事を合図に彼女の制服を一気に脱がし、下着も全て剥ぎ取った。その後に総司も服を全て脱ぎ捨て、二人はお互いに生まれたままの姿になった。
『あっ・・・総司さん・・・好きっ・・・。』
『琴音ちゃん・・・くっ・・・。』
それから、二人は激しくお互いを求め、愛し合った。
「――――ハッ!?」
と、そこで俺は目を覚ました。どうやら、電車に揺られながら居眠りをしてしまったらしい。
しかし、居眠りとはいえ何という夢を見てしまったのか。
総司が宇奈月を・・・いやいや、そんなことはあり得ん!あいつは好きな女は大切にする奴だ。
だが、やはり不安は消えない。
その所為で、現に俺は総司の家を訪ねるべく、東京に向かっている。
宇奈月はああ言っていたが、きっと総司は自分の家に彼女を招くだろう。あいつは今一人暮らしだからな。
宇奈月も宇奈月で、鈍い上に無防備だから、総司が何を思っているのかも分からず、疑うことなく家に入るだろう。
――総司が宇奈月を好いていることを聞いた時、俺は本当に焦った。
以前、摩弥さんの言っていたこともあり、何となく構えてはいたが、よりによってそれが総司だとは、全く予想していなかった。
総司は以前から女に関しては全く興味を持たない奴だったが、あのようなタイプは、いざ一人の女を好きになると、絶対に手に入れようとするだろう。
本当に厄介な相手だ。
・・・駄目だ。考えるだけで落ち着きがなくなる。
とにかく、総司の家に行って、状況を確認しよう。いなければ、それはそれで良い。
そう決めて、俺は最寄りへの到着を待った。
駅に着くと、俺は走った。総司の家は駅から歩いて五分ほどで、かなり近い。
故に、総司の家には三分で着いた。
五○五号室に行き、すぐにインターホンを鳴らした。だが、一回だけでは出てこない可能性がある故、もう二、三回立て続けに鳴らした。
すると、しばらくしてドアが開き、不機嫌な表情で総司が顔を出した。
「はじめ君、何の用?」
「宇奈月を迎えにきた。」
そういうと、総司は明らかに嫌そうな顔をした。
「何それ。僕の邪魔、しないでくれる?」
「あんたの好きにはさせん。」
だが、俺も負けるわけにはいかないと、鋭い視線を返した。
それからしばらく睨み合いが続いたが、不意に総司が笑みを浮かべた。
「あーあ、もうちょっとだったのになぁ。はじめ君がいいところで邪魔するから、チャンスを逃しちゃったじゃない。」
「・・・どういうことだ?」
「さぁね。」
自分で考えろ、と言うように総司はそれしか返事を返さなかった。だが、そのいかにも意味深な笑みに俺はハッとした。
「――まさかっ!」
「ちょっと、はじめ君!?」
上がっていいなんて言ってないよ、という言葉は無視し、俺は無理矢理家の中に入った。
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