人間になりたい猫
□帝光中学校
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「転校してきた一条 成琉です。
よろしくお願いします。」
私は自分の14歳の誕生日にカカ族の村を出た。
そこからは、何もかもがスピーディだった。
昔母さんが住んでいた空き家に着き、周りの様々な環境を調べた。
それから生活品を整えたりした後、慌ただしく『帝光中学校』という「学校」に転校生として入った。
14歳という年は、所謂『義務教育期間』らしく、必ず学校に行かなければならないのだ。
――というわけで、今に至る。
先生に言われた席に座ると、右隣りに座っていた少女が目を輝かせながら私に声をかけてきた。
「私、桃井 さつきっていうの!よろしくね!」
「あ、うん。私、苗字で呼ばれるの慣れてないから、名前で呼んでもらってもいい?」
「じゃあ、成琉ちゃんね!私のことも『さつき』でいいから!」
その名の通り髪が桃色の彼女は、そう言って破壊力抜群の笑みを私に向けた。
それにしても、彼女は胸が大きい。
この場にタオがいたら飛びつきそうだ―――
なんてことを考えているうちに、朝のホームルームは終わった。
とりあえず、この一日でさつきちゃんとはかなり打ち解けあえた。
ひとまず安心できて良かった、と私はホッとしたのだった。
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