人間になりたい猫
□常識知らずと依頼
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「ねぇ、成琉ちゃん!ゴールデンウィーク、何か予定入っちゃってる!?」
「へ?」
事は、さつきちゃんの言葉から始まった。
「あのね、実はゴールデンウィーク中にも部活があるんだけど、同じマネの子が旅行に行っちゃって、私一人なの!」
「へ、あ、うん・・・。」
「だからね、ゴールデンウィーク中の臨時マネを探してるんだけど・・・・」
「は、はぁ・・・」
「成琉ちゃん、ゴールデンウィーク空いてないかな?」
「・・・ごめん、『ゴールデンウィーク』って何?」
全然言うタイミングが掴めなくて、とりあえずさつきちゃんが話し終わってから私は一言放った。
先ほどからさつきちゃんの口から出ている『ゴールデンウィーク』という言葉の意味が全く分からない。
ましてや、日本語に訳すと『金の週』になる。
ますます訳が分からない。
すると、さつきちゃんは目を見開いた。
「えぇ!?成琉ちゃん、『ゴールデンウィーク』知らないの!?」
「あ、あはは〜。」
彼女の反応に、私はしまった、と思った。
どうやら、人間界では誰でも知っている一般常識らしい。
これを知らないとなると、結構怪しまれる可能性大だ。
「5月連休だよ!今年は3日から6日まで休みでしょ?」
「あ、なんだ、『ゴールデンウィーク』か!
ごめん、ボーとしててボケちゃった。」
けれど、幸いその後にさつきちゃんが意味を言ってくれたので、咄嗟にそう言って誤魔化した。
「あ、そうだったんだ。良かった〜。」
「(本当に良かった・・・。ありがとう、さつきちゃん。ごめんね、さつきちゃん。)」
罪悪感で痛む胸を抑えつつ、私はホッと息を吐いた。
「じゃあ、ゴールデンウィークは全部空いてるんだね?」
「あ、うん。(というか、今知ったから当然なんだけど・・・。)」
そんなわけで、私はゴールデンウィーク中、男子バスケ部の臨時マネージャーを務めることになった。
―――もう少し勉強し直そうかな、一般常識・・・・
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