人間になりたい猫

□紫の人
1ページ/1ページ




「え、何これ、『まいう輪』?」



連休3日目。



私は学校に行く前に、近くのコンビニに寄っていた。



お昼のお弁当を買うためだ。



けれど、その時ふと目についた『まいう輪』というお菓子。



以前、1本10円の『まいう棒』というのを食べたことがある(あれは本当に美味しかった)けれど、それが輪っかの形で袋菓子になったのは初めて見た。



しかも、1袋100円しないから、とても安い。



結局、興味と安さで買ってしまった。



家に帰ったら食べよう。









時間はあっという間に過ぎて、お昼休憩の時間になった。



さつきちゃんと食べるために、一度お弁当を取りに行こうとした、その時―――



「ねーねー、一条ちんだっけ?

なんか、お菓子もってないー?」



後ろから、というより上から誰かの声がして、振り向くと、思わず私は驚いた。



なんと、そこには見上げるほど背の高い青年が立っていた。



おまけに、がたいもガッチリとしていて、とても迫力があった。



「あの、私苗字呼びに慣れてないので、名前で呼んでいただけませんか?」



「んー?じゃあ、成琉ちん。

というか、2年でしょ?俺もそうだから、丁寧に話さなくていいよー。」



なんと、この人も同い年だったとは。



というか、この人と同い年というのが一番の驚きだった。



正直、すごい身長差のために、すごく見下されている感じがして、結構怖い。



それで、彼が聞いてきたことは何だったか。



そう、お菓子だ。・・・・え、お菓子?



―――その図体で、『お菓子』ですか・・・?



「えっと、お菓子だっけ・・・?」



「あー、うん。

持ってたの全部食べちゃったから、成琉ちんは持ってないかなーって。」



一応もう一度聞いてみたが、聞き間違いではなかったようだ。



それにしても、今気づいたけれど、外見に比べて中身は結構幼い気がする。



それに、なんだか話し方がフワフワしている。



というか、『ちん』って、なんか黄瀬君に似てるな。



「お菓子か・・・・あっ、そうだ。」



何か持ってたか考えようとした時、朝のことを思い出した。



「ちょっと待ってて。」



私は、鞄からお弁当と、今朝買ったスナック菓子を取り出して、彼のもとに戻った。



「はい、どうぞ。」



「え、何これ・・・?」



彼にお菓子を渡すと、彼はまるでそれを初めて見るかのように、手に取ってじーっと見つめた。



まぁ、そうだろう。



なんせ、『まいう輪』は新作で、発売されたばっかりだ。



「『まいう輪』だよ。

まいう棒は知ってる?それの輪っかバージョンなんだって。

新作だよ。今日たまたま見つけたの。」



すると、彼は急に目を輝かせた。



「わー、新作だー!」



それは、本当に小さな子どもの、無邪気な笑顔と何ら変わりはなかった。



―――何この人、超可愛いんですけど。



「成琉ちん、ありがとー!」



そう言って、早速袋を開けて食べ始める彼。



内と外のギャップがすごくて、びっくりだったけれど、慣れるととても癒し系だった。



でも、それよりも彼の姿はアノ子の姿と重なって見えて――――



「ぷっ、アハハハ!あなた、タオにそっくり!」



思わず笑ってしまった。



「何で笑うのさー。てか、『たお』って何?」



「ごめんごめん。タオは私の幼馴染。

あなたと同じくらい、お菓子が大好きなの。」



そういえば、いつも自分が持っていたお菓子は、タオに全てあげてしまっていたっけ。



そんなことを思ったら、急に懐かしくなってきた。



「よし、分かった。

これからは、あなたのために、いつも何かお菓子を持っていようかな。」



「本当?ありがとー!

俺、絶対食うから、誰にもあげないでねー。」



「はいはい。」



それからしばらく私が彼の様子を見ていると、彼は『あっ』と何かを思い出したように声を漏らした。



「自己紹介まだだった。

俺、紫原 敦。よろしくねー、成琉ちん。」



紫原くん。



その名の通り、髪も紫色である。



こうして私は、またまた『キセキの世代』の1人になる、紫原 敦君と仲良くなった。







その後、私はいつも鞄の中にお菓子を入れておくようになった。











―――ねぇ、紫原くん。美味しい?



―――うん、美味しいよー



―――1つ、ほしいな・・・・



―――ん



―――ありがとう。 パクっ・・・!!すごく美味しい!!









―――――――――――

最近、うま○輪にハマりだした私です・・・・!









.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ