願わくば

□第二話
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ある日突然、それは現れた。









第二話





―――ドゴォ!!







「!?」

その巨人は足を振り上げ、一振りで壁をぶち破った。壁の大きな破片が飛び散り、街中の家々にぶつかった。

誰も何も言えなかった。

壁に穴を開けた後、超大型巨人は姿を消した。


次の瞬間、皆が我に返り、街の住民は一斉に逃げ始めた。

『きゃああああ!!』

『うわああああ!!』

周りが皆パニック状態の中、メイとレインはまだ呆然としていた。

「おい、何やってんだお前ら!巨人が来るぞ!!」

逃げようとしている同僚に言われ、レインはそこで我に返った。

「そ、そうだよ、巨人が来ちゃう!!メイ、逃げよう!?」

「・・・・。」

しかし、彼女からの返事はなく、もう一度声を掛けようとすると、急に駆け出した。

「ちょ、メイ!?」

メイはそのまま本部へ戻り、自分の部屋に入った。そして、素早く身支度を始めた。

「メイっ、あ、あんた・・・まさか――!?」

彼女の身に装着されたのは、実際に巨人と対峙する為のもので、それを見たレインはこれからメイがしようとしていることが嫌でも分かった。

「ガス、満タンにしておいて良かった。これなら大丈夫そうね。」

「ちょ、待ってよ!!あんた本気!?
今は予想外の事態で、司令部の中も凄い混乱してて戦う余裕ないし、私たちみたいな新人は尚更逃げなきゃ!!
今回は逃げても仕方ないよ!!上からは何も言われないって!!」

レインは必死に叫んだが、メイは首を横に振った。

「ううん、私は自分の意志で巨人に迎え撃つことを決めたの。だから、あなたに私は止められないわ。

私は生まれ育ったこの街を、住民を護りたいの。

でも、巨人を全て追い返えそうなんて無茶はしない。皆が、より多くの人が助かるようにするだけ。

絶対に死なない。あなたに追いつくと約束するから。
だからレイン、あなたは逃げて。」

メイの目は本気だった。しかし、レインはそれでも納得出来ない。






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