願わくば

□第六話
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思えば

始まりはここからだったのかもしれない






第六話


「大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」

「ハァ・・・ハァ・・・、すいま・・・せ・・・」

メイの懸命な応急処置も虚しく、その男は謝罪の言葉すら最後まで言えずに亡くなった。

リヴァイやメイが動いても、全て手に負えるわけではない。
戦っている最中に死ぬ者も少なくなかった。

「メイ、どうだ?」

「駄目・・・でした。」

「・・・そうか。」

なら行くぞ、とリヴァイはすぐに次へと動き出す。先ほどからその繰り返しだ。

けれど、悲しみに耐えているメイには気を遣っているのか、それ以上のことは話さない。
ただ、ひたすら巨人を倒していくだけである。

けれど、それだけでもメイにとっては十分にありがたいものだった。

「(ありがとうございます、兵長。)」

メイはそんな彼に、心からお礼を言った。






「・・・退却だ。」

それからしばらくして、ついにリヴァイは退却命令を出した。
流石に限界だと判断したのだろう。

「へ、兵長!駄目です、まだ数体の巨人がこちらに迫っています!」

けれど、誰かの言う通り、後ろからは二、三の巨人がこちらに向かっている。
しかし、リヴァイはそれも知った上で判断しているので、命令内容を変えることはなかった。

「後ろは俺たちが倒す!お前らは先に馬に乗って町から出ろ!」

そう、代わりにリヴァイとメイが後ろの相手をするからだ。

「り、了解!」

二人の援護があると分かると、皆は納得し、彼の指示に従った。
そのくらい、皆は二人の強さを知っているのだ。

「兵長、色々降りかかってくるって、こういうことだったのですか?」

「フン、さぁな。
・・・最後の仕事だ。気を抜くなよ。」

「了解。」

そして、二人は巨人に飛び掛かった。






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