願わくば
□第九話
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その感情は
いつも私の心を乱す
第九話
「おい、メイ。ここ、字が違ってんぞ。」
「えっ、嘘!?」
これで本日五回目。流石にリヴァイはおかしいと思ったのか、動かしていた手を止め、メイに近づいた。
「お前、熱あるんじゃねぇか?」
「へ?私は今日もバリバリ元気ですよ?
え、ちょっ、てか何でこっちに来るんですか!?」
メイはそう言いながら椅子から立ち上がると、リヴァイから逃げるように後退りする。
「おい、逃げるな。」
「¢*☆$#∞!?」
けれど、気付けばリヴァイは目の前にいて、メイは心臓が口から飛び出そうになった。
そんな彼女に構わず、リヴァイは素早く自身の片手を彼女の額にあてた。
「はひ・・・。」
「熱はないみてぇだが、お前の顔は真っ赤だ。どういうことだ?」
「そ、それは・・・こちらが聞きたいというか、何というか・・・。」
「はぁ?お前の身体だろうが。」
リヴァイは呆れるが、メイには本当に謎なことだった。
『メイと兵長のことが好きだってことよね?』
ただ、明らかなのは、原因がシィナのあの言葉であるということだ。
あれからメイは、異常なほどリヴァイを意識してしまっていた。
「あ、あの・・・兵長。」
「何だ?」
「ちょっと、御手洗い行かせてもらってもいいですか?」
「・・・逃げるなよ。」
「ははっ・・・まさか。」
流石に今まで何度も逃げているので、こうやって釘をさされるようになった。
メイはそんなわけないですよ、と言って部屋を出た。けれど、実は少し逃げであった。
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