短編

□声憶-セイオク-
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「優太」
誰かが呼んでる。
誰かが何か言ってる。

誰が呼んでる?
誰が何を言ってる?
「優太」
この声は―――にそっくりだ。
僕の愛した―――の声に。

―――?
―――って誰だっけ?
―――だけノイズがかかって言えない。
すごく好きだったのに愛してたのに。

ねぇ、なんで僕を裏切ったの?『他に好きな人ができた』
その好きな人は僕の親友だった。
僕と付き合う前から好きで、僕は親友に近づくための道具。

「優太」
…あれ?今度は違う声だ。
落ち着く声。
これは、××?
「優太」
あぁ、××だ。
名前はやっぱりノイズがかかるけど心の奥底で親友の声だと確信する。
大好きで僕の心の支えだった。
僕が―――と付き合ったとき、一番喜んでくれたのは××だったね。
僕すごく嬉しかったんだよ。
男同士で付き合うなんて軽蔑されるに決まってるから。
でも××は嘘つきだ。
本当は好きだったんでしょ?
―――の事が。
僕が―――と別れてすぐに二人は付き合い始めた。
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