企画小説

□27日 観月はじめ
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今日は観月の誕生日。
だから僕達ルドルフメンバーは一週間前から今日の事を計画していた。

つまり、観月の誕生日パーティーをだ。

始めに言い出したのはやはり柳沢だった。
それに裕太がのっかり次に金田がのっかり……という感じで、気付けば皆がそれに賛同していた。

しかし不安な気持ちがある事もまた事実。
騒がしい事が嫌いなあの観月だ。素直に喜んでくれるかどうか……もしかしたら迷惑だと怒られる事もありえるだろう。

しかしながら寮の食堂は既に飾り付け万全の状態。あとは赤澤が観月を連れてくるのを待つだけとなった。


「観月さん、喜んでくれるといいですね」

「……そうだね」


…裕太、あまり希望はもたないように。

皆がクラッカーを持って待機している中、食堂の扉が開いた。


「全く赤澤め……一体何の用……」

パーン!

「「「「ハッピーバースデー!観月(さん)!!」」」」


皆が一斉にクラッカーをならすと、案の定観月は一瞬フリーズしてしまった。こんな顔をする観月はかなりレアかもしれない。


「……な、なんなんですかこれは?」

「ほら観月、そんなとこにつっ立ってないでこっちに来るだーね」


ポカンと口を開けて呆然と立っている観月を柳沢が主役の席へと案内する。
その椅子は僕なら絶対に座りたくないと思うくらい派手に装飾されていた。
柳沢が半ば無理矢理観月を(本人はかなり本気で嫌がっていたが)主役席に座らせ他全員も席に着く。
そしてマイクの前に赤澤が立った。

代表者からのメッセージだ。

最初こそ誰がスピーチをするか悩んでいたものの、やっぱり部長の赤澤が一番しっくりくると言うことで赤澤に決まったのだ。
ゴホンッと咳払いをしてから赤澤のスピーチが始まった。


「えー観月、まずは誕生日おめでとう。
本当は皆言いたい事は様々なんだが、この場では俺が代表としてスピーチをさせてもらう。

観月へ。
誕生日おめでとう。
いつも俺達の勝利のために頑張ってるお前には本当に感謝している。

お前はいつも少し辛口で、人に誤解されるような言動ばかりしているな。
だが、お前が俺達の事を思ってそうしてくれていると言う事、ちゃんと理解してる。
ただ負けた奴に冷たくあたるのはちょっと控えた方がいいかもな。

俺達もお前の力になれるように精一杯努力する。だからお前も、これからも俺達に力を貸してくれ。

最後になるが、いつもありがとう。これからも同じ部の仲間、そして良き友人としてよろしく頼む」


赤澤のスピーチが終わり盛大な拍手が巻き起こる。中には涙を浮かべている者もいた。


「お待たせしました〜!!」


拍手が収まった頃、金田達が大きいバースデーケーキを持ってきた。
一つでは全員分足りないので大きいサイズのが五つも。

いくらなんでも多いような気が……という言葉はしっかりと飲み込んだ。
そしてテーブルの上にケーキが並べられた時、僕は観月が何も喋っていない事に気が付いた。


「……観月?どうしたの、驚いて声も出ない?クスクス」

「そうですね、とても驚きましたよ。
……ところで、これに使ったお金はどこから調達したんですか?」


観月がそう言うと、僕の向かいに座っている裕太が答えた。


「そ、そりゃあ俺達が出しましたよ」

「そうですか。……そういえば、前回支給された部費に一部使用用途不明なものがありましたが……赤澤部長、何かご存知ありませんか?」


観月がそう言った途端、皆に冷や汗がつたった。

実は全員からお金を集めたものの、資金が少しばかり足りなかった。
そこで赤澤が部長という権限を乱用し部費をほんの少しだけ拝借してしまったのだ。(ちなみに顧問にはかならず返済するという条件で了承を得ている)
だがあの観月が納得するとは思えなかった。

やってしまった……。

皆の心がシンクロした瞬間だろう。


「……やはりこのパーティーの費用に使ったんですね。
全く、貴方達はどうして毎度毎度そういう勝手な事ばかりしてくれるんでしょうねぇ……」


やれやれといった感じでため息をつく観月。
しかし今日ばかりはその言葉に部長が食い付いた。


「おい観月、そんな言い方はないだろう?皆お前のために一生懸命……」

「ありがとうございます」

「……え、」


赤澤が話を遮って聞こえてきた観月の“ありがとうございます”。
その言葉には皆が驚いたらしく一瞬場が静まりかえった。
たぶん皆観月がこんなに素直にお礼を言うとは思っていなかったのだろう。


「なんですか?今日くらいは少し素直になってみようかと思ったんですよ。
んふっ、貴方達の考えくらい読めますよ。
……こんなに盛大に誕生日を祝ってもらった事はありません。
貴方達の気持ち、しっかりと伝わりましたよ。
ありがとうございます、皆さん」


そう言って観月が浮かべた笑みは、試合に勝った時とも新しい技が仕上がった時とも違う、優しい笑顔だった。


……ああ、そうか。

ねえ観月、君のその“ありがとう”に込められた気持ち、僕はちゃんと拾ったよ。

いつも僕達を駒だなんだといっている君だけど―――






なんだかんだ言って

(僕達の事)
(ちゃんと仲間だって)
(思ってくれてるんだよね)





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アトガキ

観月さんハピバ小説完成!!(ゼーハーゼーハー

メッチャ頑張って一日で終わらせちまった(笑)酷い作品になってるなぁー・・・。

まあいいか(^o^)←(開き直り


なぜか視点は淳ですが・・・

淳が好きという仲間がいたら嬉しいですo(^-^)o

それでは、お目通しありがとうございました(*^_^*)



2010.5.27


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