記念小説
□*始まりの日
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チョコレートのプレートを取り出し、ホワイトチョコレートで丁寧に文字を書いていく。
『お誕生日おめでとう。銀時』
と…。
「…これ?」
訳がわからないと言った風に小首を傾けた。
銀時の前に屈みそっと両手を握る。
「今日は私たちが出会って、あなたが私の家族になって1年になった日です」
「…かぞく」
「はい。本当の誕生日は分からないですが、今日を誕生日として祝ってもいいですか…?あ、でも銀時が良ければですけど…」
不安げに顔を覗くと首元にぎゅううっと抱き着いてきた。
予想だにしてなかった行動に驚き、尻餅をついてしまう。
「ぎんっ?」
「たんじょうび、はじめて!せんせいありがとお!」
「…本当にあなたは可愛いですねぇ」
クスクス笑いながら擦り寄って来る小さな背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「ねぇ銀時。私の家族になってくれて、生まれてきてくれてありがとうございます。大好きですよ」
「っあ、あのね あの、おれもすき…」
「ふふ。これは嬉しいですね」
ガタン!