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「…ルルーシュ、ごめん、気付けなくって…」
「な…何が…」
俺は突然のイレギュラーに、次に取るべき行動を定められず、依然としてスザクの下で、何の効果も得られないような言葉で応える事しか出来ない。
考えようとすればする程、何も考えられなくなり、手を打てない。
普段はチェス盤を通して見るような、あんな顔になっているのだろうか、俺は。
「君…、僕の事好きだったんだね!!」
「は………」
あぁ、そうだとも。
大好きだとも。
だが、咄嗟の事に、言葉が出なかった。
「僕の事ズリネタにまでして、僕に抱かれたいなんて…」
ず…何だって?
「嬉しい…。君の事好きなのも、ズリネタにしてるのも、僕だけだと思ってたから…」
え……?
「大丈夫、これから目一杯君を抱いてあげる」
可愛い笑顔で言われたが。
「ちょ…っと待て!!」
状況に順応出来ないながらも俺は再起動した。
「抱くのは、俺だ…!」
…というか待て、何なんだこの会話。
ええい、俺の計画はどこから狂っていったんだ!!
と、スザクが盛大に吹き出す。
「それは無いでしょ」
「な…何故だ!?」
何故ここでスザクが吹き出したのかも分からない。
俺の理解の範疇を優に越えている。
「いや、だって君、今自分で指挿入れてたじゃないか。そうじゃなくてもそれは無いよ」
何だその自信!
何故そう断言出来る!?
「それは…!お前を抱く練習をしようとして…」
くそっ、何でこんな事…!
雰囲気も何もあったものじゃないな!
「ははっ、何だいそれ、可愛いね」
一蹴…。
「俺は可愛いなんて言われたって全然嬉しくない!」
そんな事言って、お前の方が絶対可愛いだろう!
「そう?ルルーシュすごく可愛いのに。…可愛いよルルーシュ、…可愛い。僕の物になってよ…」
ぎゅっ、と目の前のスザクに胸が締め付けられる程ときめく。
顔が一気に熱を帯びた。
「キス…していい?」
何と答えていいか分からず、目を見つめ続ける事に堪えられなくなる。
と思った瞬間には唇に触れる物があった。
…あぁ。
少々複雑ではあったが、唇で幸せを感じた。
「……お前…、…さっき俺の事、…好き、って…」
「うん。好きだよ、大好き、ルルーシュ」
「…俺も…!好きだスザク…!」
俺はスザクの首に腕を回した。
ぎゅっと抱き合って、それから再び唇を重ねた。
今度はスザクの舌が入ってくる。
その行為と感触に、一瞬驚きと焦りが混じったが、ゾクリとした感覚がクセになる。
…キスって、こんな気持ちのいい物なのか。
身体の奥に、消えかけていた熱が再びじわりと灯る。
「…ねぇ、ルルーシュいいかな?」
「な…にが…」
「さすがにもう限界だよ…」
息を少し上げて、擦れた声でねだるようなスザクは、堪らない位セクシーだ。
「だから、何が…」
俺が焦れて言うと、スザクは本当に限界を匂わせる。
「…君の中、挿入れたくてしょうがないんだけど…。君ってば、ずっとそんな格好でいるし、本当はこの部屋入った時から勃てっ放しだったから…」
「………!」
言われて初めて気付いたのだが、俺はスザクの前でずっと、文字通り制服のシャツ一枚だったのだ。
つまり、下半身は何一つ身に付けていない。
俺は緩く勃ち上がった自身を、慌ててシャツで隠した。
「もう遅いよ、ルルーシュ。それにそこを隠したって、綺麗な脚が全部出てる。…しかも、僕の名前呼びながら一人エッチしてるルルーシュなんか見せられたら、勃たない方がおかしいって」
「………っ」
先程からスザクに言葉で返す事が殆ど出来ていない。
これは完全に相手のペースに飲み込まれている。
拙い…!
正か話術で、しかもスザク相手に引けを取る事になろうとは…。
「触るよ…」
俺の指は簡単に解かれ、スザクに直接握られた。
「あ……っ!」
俺は堪らず眉根を寄せた。
違う…。
自分でするのとは、まるで違う。
スザクの手に扱かれると、気を抜けば、すぐにでも放ってしまいそうだ。
「…さっき自分でほぐしてたから直接挿入れちゃっても大丈夫かな」
「あ…」
後ろに熱い物が触れる。
「力抜いて…」
「難しい、事を…」
「大丈夫、ほら…」
スザクに、蜜を滴らせる自身を嫌になる位優しく刺激され、自然にふわっと力が抜けていく。
「んん……っ」
すごく開かれる感じがして、スザクの先端が入ってきた。
「あッ、痛…っ」
スザクが少しでも動くと、もれなく痛みを催す。
「痛っ、痛いスザク…!無理だ!元々ここは入れる場所では無いっ」
俺は余りの苦痛に、悲鳴を上げた。
何が問題かというと、スザクの大きさだろう。
指とは比べ物にならない程の質量体積だ。
「ルルーシュ…、ごめんちょっともう無理。僕に任せて。気持ちよくなるように頑張るから、ね?」
何だと…!?
スザクは俺に指を絡めて、宥め賺してゆっくり、本当にゆっくり進んできた。
俺の痛みが最小限になるようにとの配慮だろう。
…限界だと言っているからには、本当はもっと激しく突き上げたいだろうに。
スザクの行動は信じられなかったが、大切にされていると感じて、嬉しくない訳がない。
…こんなの、スザクに限り、なんだからな。
「ルルーシュ…」
「ぁ…あ…っ」
俺を開いて、突き進んでくる熱い物がスザクだと考えると、与えられる感覚は全て途方も無い快楽のように感じられてくる。
「あ…、ここだね?見付けた…」
「あ…っ!?ひああぁぁんっ!」
スザクにある一点をぐりっと擦られ、一気に飛びそうになった。
「す…スザク…っ」
俺が訳も分からず手を伸ばすと、スザクはその手をぎゅっと握ってくれた。
「大丈夫だよ、…ルルーシュ、一緒にイこう?」
「スザク…っ」
「ルルーシュ…」
…俺のベッド。
…スザク(寝ている)。
………裸!
「………ッ!!」
先程の行為が、腰の有り得ない鈍痛の分も余計に、生々しく脳裏に蘇って、顔から火を吹きそうになる。
いっ、いや待て、落ち着け。
途中経過があれだとしても、結果的に俺は計画を遂行出来たのではないか!?
…流石、俺の計画!
こう落ち着く事も全ては必然だったという事だ!
何せ俺はめでたく枢木スザクを手に入れる事が出来たのだから!
…しかし何か釈然としないな…。
何故だ…?
と、スザクがもぞりと動いた。
「ん…ルルーシュ…」
……寝言か…。
…恥ずかしい奴。
まあ……、いいか。
この腰痛には閉口するが、締めて俺は満たされた思いで、スザクの胸に頭を寄せた。