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〜Honey Honey〜



「ルルーシュ達は今日はもう講義無いんだよね」

残りの水を全て飲み、空になったコップを四角いプレートに乗せてスザクは訊ねた。

向かい側に座るルルーシュとシャーリーは訳もなく頷く。

「いーよなあ」

リヴァルが切実な溜め息を吐く。

「苦手な教授なんだっけ?頑張れ!」

シャーリーは苦笑しながら既に気重そうなリヴァルを励ました。

リヴァルと連れ立って席を離れたスザクがルルーシュの肩にそっと手を置く。

「…じゃあ行ってくるね」

「はいはい」

いかにも寂しそうに告げるスザクを、ルルーシュは少しでも気に留めた様子も見せず、適当にあしらった。



「…ねぇ、ルルとスザク君って同棲…してるんだよね」

二人が去った後、シャーリーは少し身体の距離を詰めて問う。

「うん、まあ…」

「でも、その割りにはあんまりイチャイチャしたところ見た事無いなぁ…」

「だって…、みっともないじゃない」

ルルーシュの解答に、シャーリーはそんなものだろうか、と首を傾げた。





「なぁ、お前らってさぁ、ほんとに付き合ってんの?」

「うん」

教室に向かう途中の通路で、訝しげに問うリヴァルにスザクはあっさりと答える。

「あんなツンツンしたお嬢様落とせるなんてやっぱ流石だよな。美人だし胸デカいし…。でもあんなんでちゃんとセックスとかさせてくれてんの?」

「まぁね」

「ふうん…。でもまあヤる事ヤらせてくれてあれだけ美人だったら、逆に冷たいのも魅力かもな。はっ、羨ましいぜ」

不貞腐れて零すリヴァルに、スザクは心の中で、それだけじゃないんだな、と呟いた。










「ただいまー」

スザクが玄関のドアを開くと、奥からパタパタと小走りする音が響いた。

「スザクっ、おかえりなさぁい」

嬉しいと言わんばかりにぴょんと抱き付いてきたルルーシュをスザクはぎゅっと抱き締めた。

甘い声音で、スザクをとろけるような視線を見上げるルルーシュは、先程皆の前で見せたあの態度の彼女とはまるで別人だ。

スザクの、一見細そうに見えて実はしっかりとした胸板とルルーシュの間で、豊満な胸が自由に形を乱して挟まれている。

これだけ柔らかく胸を押し当てられるのも(抱き合えば否応なしに押し当ててしまうのだが)、それを拘束する物が無いからである。

ルルーシュは、スザクの定めた自宅でのブラジャー禁止令を忠実に守っていた。


他人の目のある時、ルルーシュが必要以上に冷たく見える態度をとっている分なのか、二人切りの時の主導権は、完全にスザクの手にある。


ルルーシュは元々ドライなタイプで、身内以外の誰かに依存する事等は、皆無と言っていい程だった。

それがこの様である。

或いは今までそういう経験が無かった分、一度箍が外れると収集が着かないという結果を招いたのかも知れない。

ともあれ、ルルーシュは今の状況に、戸惑いはするものの、何ら不満を抱いてはいなかった。

ただやはり人前で見苦しい姿を見せるのは、本来の山より高いプライドの面からも憚られたので、家の外では平静を保つように心掛けている。


…他の奴の言う事なら、聞かないけどね。(特にこんな変態じみた命令は死んだって聞かない!)


いくら惚れているとは言っても、恋人が変態だという事に気付く位の冷静さはまだ持ち合わせているらしかった。



一方スザクもそんなルルーシュにめろめろであった。

他人がいる時の冷たい態度も確かにリヴァルの言う通り魅力的だと思うし、自分に向けるとろけた顔や従順な態度も言いようの無い位可愛い。

外と家のギャップも堪らないし、あの可愛い顔が自分だけに向けられている事、自分だけが独占出来る事が、最高に嬉しい。

それがもっと違った態度だったり、これから変わるような事があったりしても、きっとスザクの想いは変わらない。

つまり、スザクはルルーシュでありさえすれば、どんなルルーシュでも可愛いと感じ、それを愛した。

それ程までに愛しているが故と言い訳付きではあるが、変態っぽいと言われれば否めない事を自身も認めている。


…僕だってこんな事になったのは、君が初めてなんだから。


しかしその暫し行き過ぎた感のある要求をルルーシュが受け入れてくれる事に、また顔を緩めてしまう(無限ループ)。





玄関でぎゅっと抱き合ったまま、スザクの手がルルーシュの太股の辺りをまさぐる。

ルルーシュの脚がビクッと震えた。

スザクはそのまま手をミニスカートの中に差し入れ、下着の上から脚の間を撫でる。

ルルーシュは火照らせた顔を、スザクの胸に埋めた。

「…ルルーシュ?」

「……な…に…?」

「パンツがすごいびしょびしょだよ?…もしかして僕が帰るの待てなくてオナニ−しちゃった?」

スザクに耳元で、諫めるどころか寧ろ楽しんでいるように甘く囁かれ、ルルーシュはがばっと顔を上げた。

「し…っしてない…っ!」

「じゃあ何でこんなにびしょびしょ?」

「………」

スザクの問い掛けにルルーシュは再び恥ずかしそうに額をスザクの胸に当てて俯いた。

「ルルーシュ?」

「ゃ…っ」

スザクは促すように下着の上から指先でふにふにと柔らかい部分を揉む。

「違っ…ほんとにしてない…っ」

「…まだキスしてないね」

キスというのは、外出と帰宅の際の新婚顔負けの、二人の日課の事だ。

スザクはルルーシュがそれを欲している事を知っており、更に自分の問いに答えなければしないと暗に言ったのだった。

ルルーシュは渋々ながら口を開いた。

「…お洗濯物、畳んでて…スザクのシャツのボタンが…ここ、に…引っ掛かっちゃって…」

そう言ってルルーシュは自分の豊かな胸の、下着を着けていない為尖っている事が容易に知れる先端を指した。

「でも…我慢して……我慢したんだけど…スザクの事考えてたら……濡れちゃったの…っ」

最後の言葉はもう限界だと言うようにスザクの胸にばふっと真っ赤になった顔を埋めた。

「…ルルーシュ、可愛い…。顔上げて?」

おずおずと上げたルルーシュの羞恥に染まった肌と潤んだ眼に、スザクはもう一度目を合わせて可愛いと告げると、キスを落とした。

「ん……っ」

覆い被さるようにしっとりと唇が塞がれ、焦がれた感触にルルーシュはうっとりと瞳を閉じた。

「ん……、ふぁ…っ」

舌が絡められ、吸われ、貪るようなキスに、鼻から甘い息を洩らしながら身体を震わす。

「ルルーシュ…、僕の事考えただけでそんなに濡れちゃったの?」

息をつく僅かな合間にスザクが訊ねる。

「だって……、ん…っ」

ルルーシュも殆ど吐息で答える。


ルルーシュはスザクのキスが本当に好きだった。

スザクにキスされると、不思議な位気持ちよくなる。

愛されていると感じる。

花弁のような優しいキスも大好きだし、食べられるのではないかという激しいキスも、いっその事食べられてしまいたいと思う。


キスに夢中になっていたルルーシュの膝から力がガクンと抜けると、スザクはルルーシュの両頬を挟んでいた大きな手を、腰に回した。

それから、支えられてもルルーシュの足元が覚束なくなった頃、やっとスザクは唇を離して、ルルーシュをぎゅっと引き寄せた。

力の入らないルルーシュの身体は簡単にスザクの胸へと倒れ込んだ。

「好きだ…。好きだよ、ルルーシュ」

ルルーシュは言いようの無い幸せに、ゆっくりと瞳を閉じた。

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