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『ルルーシュ』

スザク!

『ルルーシュ、キスしようか』

っ!?

キ、キスだと…!?

な、何だ突然…。

『僕とキスするの、嫌…?』

べっ、別に嫌という訳では…。

『なら、いいよね。…ルルーシュ、大好きだよ』

スザク、俺も──…



〜スザク 攻略戦〜



「…ーシュ」

「ルルーシュ!」

「ルルーシュッ!!!!」

俺は、はっとして振り返った。

「やっと戻ってきたか」

俺の隣に苛ついたC.C.が腕を組んで立っている。

耳がやけにキンキンするのは、…まあそういう事だろう。

「先程からずっと呼んでいるのに全く返事をしない。どうせまた奴の事でも考えていたのだろう」

「…うるさい」

決まりが悪くて仕方なくそう呟いた。

「乙女の様な顔をして、片想いはさぞ楽しい事だろう」

「…片想い?」

思いがけないフレーズに俺は眉を顰めた。

「違うのか?今だって叶わぬ恋の傷心を妄想で補っていたのだろう?」

「叶わぬ恋、だと…?」

喉の奥からクツクツと笑いが零れる。

「C.C.、笑わせるな。俺に不可能等無い!それが色恋沙汰に適わないと思うか?…否!」

俺は計算し尽くした角度に鋭く腕を伸ばした。

「俺は奇蹟を起こす男!そうでなくても俺はモテるんだ。スザク等瞬く間に陥落させてやる!」

「その割りに、未だ童貞坊やだな、お前は」

完全に見下した態度のC.C.を睨み付ける。

「それは俺がしたいと思う相手がいないだけだ。それに俺は欲求不満では無い」

「だが、奴とはしたいんだろう?」

「しっ、したいというか、それはちゃんと順序を踏んだ上でだな…」

どっ、堂々と…。

この女は何てはしたないんだ…!

「…それだからお前は童貞だ。兎に角、奴を落とすのだろう?お前実戦無くて大丈夫なのか?」

「…戦術より戦略…だ…」

自分でも苦しいとは思うが、言われるだけなのは我慢ならないので、一応抗議する。

「戦略?」

「…今度スザクを家に呼ぶ」

C.C.の目が光った。

「それでセック…」

「馬鹿!はしたない!…身体だけ奪っても無意味だ。それこそギアスを掛ければいい話だろう」

「ならばどうするというのだ」

C.C.が不満気に問う。

「夕飯を…」

「馬鹿かお前は!それではいつもと同じではないか」

…この俺に、馬鹿、だと…?

C.C.の言葉に思わず眉がピクリと動いた。

「…男は家庭的な女に弱い」

「お前は女なのか?」

…こいつ、先ず人の言葉にケチを付けなければ気が済まないらしい。

「…俺は女ではない。だから俺も家庭的な女が好きだ」

「ほう、それは初耳だな」

C.C.は心底可笑しそうに顔をニヤつかせる。

ふん、…勝ったな。

俺は満面に笑顔を作り上げた。

「だから、お前みたいながさつな女はまっぴらだ」

C.C.の顔色がみるみる変わる。

これは見物だ。

「この…ガキがっ!!」

「ぐ…っ!」

俺は顔面で枕をもろに受けた。


くそ…っ。

あの場合、C.C.が物理的反撃を含む、何らかの反撃をしてくる事は充分予測出来ていたはずなのだが…、まさか自身の身体能力の面で防ぐ事が出来ないとは…。

失態だ…ッ!

「あっ、おい馬鹿っ!俺の部屋から出るな!!」





──失態だッ!!!

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