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「………はぁ」

がっくりと肩を落としたまま部屋に入り、自分の背中で鳴る扉の閉まる機械的な音と同時に大きな溜め息を吐いた。

…どうしてこうも上手くいかない。

俺は苛立ち紛れに、チェス盤の上で駒をくるくると動かした。

駒同士がぶつかってカタンカタンと倒れていく。

「……はぁ」

…思い返すと本当に情けない。





作戦プランα-至近距離で目を見つめる!

身体的距離、特に顔の接近は、幾らかの緊張感を促す。

俺の顔はアップに耐えるし、これは俺の美貌を最大限に活用出来る正にうってつけの策だ。

いざ!

俺が至近距離でスザクの目を覗き込むと、綺麗な翡翠は少しだけ見開かれた。

…やばいっ!

俺は慌てて顔を反らし、スザクに背を向けた。

…か…格好いい…っ。

こんなのドキドキして、見つめて等いられる訳ないだろう!!





気を取り直して作戦プランβ-二人きりで狭い場所に閉じ込められる!

これもベタだが、効果は絶大だ!

ふふふ…どうだスザク、身体が密着して落ち着かないだろう!

これは成功だな。

前日から倉庫の扉と鍵に仕掛けをしておいた甲斐があった。

「ルルーシュ大丈夫?」

「!だ、大丈夫だっ」

耳元で囁かれて驚く。

「あっ、動くなバカっ」

スザクが身体をもぞもぞうごかすので、変な所に当たる。

「……待って、今扉壊すから…、えいっ!」

外から差し込む眩しい光に、俺は唖然として固まった。

この…天然体力バカがッ!!





作戦プランγ-生徒会室で二人っきり…

「あ、ごめんルルーシュ軍から呼び出しが…」

な……ッ!!

しかもこんな時に電話を掛けてくるなんて誰…

Q-1んんん!!!

『あっ、ゼロッ!今大変なんです…』





…泣きたい。

何故お前は俺の予測ポイントから外れたな軌道ばかり取る…。

通常では考えられない動き…

まるであの白兜……いやいや!

憎き敵とスザクを一緒にするなんて、俺も疲れているな。

落ち込んでいる暇は無い。

計算通りにはいかなかったとはいえ、スザクにだって何らかの作用が働いている筈だ。

俺がこれだけ心を砕いているのだから!!

…となるとそろそろアレの準備が必要か…?

丁度今日はC.C.も騎士団の方にいるし…。





「……っは…」

下準備はこれ位でいいだろう。

俺は高ぶった自身から手を離した。

…そう、その、あれ…あ、アナルセックスの練習だ。

いくら俺が抱く方とはいえ、知識でしか知らないのでは頼り無いからな。

スザクがどうして貰えば気持ちが良いのか知っておかなければならないだろう。

俺は後口に軽く触れた。

「………」

…やはり抵抗感は否めないな…。

…こんな場所に物を突っ込むなんて考えられない。

…いや、しかしここを以てしなければスザクと繋がる事は不可能であり、俺が予習をする事も不可欠であるからして…。

「………っ」

俺は覚悟を決めて指先をめり込ませた。

…きつい。

しかし一度入れてしまえば、精神的な抵抗はほぼ無くなる。

俺は前を湿らせる液体を潤滑油代わりに、一気に指を差し込んだ。

「………」

…何だこの異物感は…。

…本当にこんな場所で気持ちよくなれるのか!?

何というか、動かせば動かす程…。

…こんな事をスザクに強いて良いのだろうか…。

…何としても見つけなくては!

気持ちよくなる方法を!!

…まずそもそも俺の指では…ん?

そうだ、取り敢えずこれをスザクの指だと思って…!

…スザクの、少し陽に焼けた、大きくて硬い指が…俺の…な、か…に……。

「……っ…」

…何だ!?

今何か変な…今までと違う感じが…。

スザクの…熱が無いかと俺の額に触れたスザクの指…。

「ん……っ」

俺は思わず空いている方の手で前を緩く握った。

す、ごい…!

後ろが柔らかくなった…。

俺は入れた指を大胆に動かし始めた。

「…ふ…っ」

…何となくコツが掴めてきたぞ。

俺は後ろが弄り易いように両手と両膝を突いて、腰を突き出すような格好になった。

俺にとっては大分屈辱的な格好だが、誰も見ていない事が唯一の救いだ。

「…スザク……」

名前を呼ぶと、スザクの指をリアルに感じられる気がする。

「スザク…っスザク…」

俺は指を中で引っ掻き回した。

…気持ちいい…というのも何となく分かってきたぞ…?

「ん…っん…ぁっスザク…っ」

「ルルーシュ、呼んだ…ってうわっ!!」





…は!?

後ろからの突然の声に、心臓がひっくり返りそうになる。

「る、ルルーシュ…」

「すっ、スザク、これは違っあぁんっ!!」

俺の後ろが突然指を締め付け始める。

「ん…くそっ…抜けないぃ…っんんっ。ってバカっ、お前何見て…っ!!」

俺が指と穴と格闘する中、スザクは、いつの間にか扉の所から中に入って来て、極近くで俺を静かに見下ろしている。

…何か!

普通何かもっと違うリアクション取らないか!?

「ルルーシュ…」

俺がやっとの思いで指を引き抜くと、気付けば俺は、目の据わったスザクに覆い被さられていた。

な…何だ…!?

この有り得ない状況は何なんだ!!



…だから、お前はどうしてそう常軌を逸した動きばかり取るんだ!!

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