+太陽のかけら+

□PHASE-04 分かたれた道
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「そうだ!全軍砲撃中止だ!今の放送が聞こえなかったのか!?」


アデスが通信機に怒鳴り付けた。

ソラヒメにああ言われては、ヴェサリウスは手も足も出せない。

無論それは、イージスに乗るアスランも同じであった。





「救助した民間人を人質に取る。……そんな卑怯者と共に戦うのがお前の正義かっ!?キラ!!」

『……アスラン。』

「……彼女達は助け出す!必ずなっ!!」


戦闘は終わった。


だが、それは後味の悪いものだった。

アスランにとっても、キラにとっても……。





PHASE-04
分かたれた道






静まり返ったブリッジでフヨフヨと赤い物が漂っているのがラクスの瞳に映った。


「っ!?ヒメ!血が……!」


ソラヒメの金髪が赤く染まっていた。

どうやら、先程フレイに突き飛ばされた時に切ったようだ。


「いいわ。」


だがソラヒメはそんな事気にも止めずにラクスの手を払いのけた。


「これが、貴方がたのやり方ですか?」


再会してから初めて、ソラヒメはマリューと瞳を合わせた。

怒りと憎しみ、そして微かに哀しみの色を映した瞳を……。


「情けないものですね。死ぬ覚悟が無いのなら戦場などに来るものではありませんよ。」


アルスターの事を言っているのだろう。

マリューは反論出来なかった。



シュン!



「艦長!!」


その緊迫したブリッジにフラガが飛び込んで来た。


「貴様!!」


ソラヒメを目にするなり、怒りを露にする。

怒りで我を見失っているのだろう。

彼は気付いていなかった。

ソラヒメが本気で怒っている事に……。


「貴様のせいでっ!!」


フラガは懐に手を入れ、銃を取り出し、ソラヒメに向けた。


「「「……っ!!」」」


だが、その銃が火を噴く事はなかった。

ソラヒメも全く同時に銃を向けたからだ。

隠し持っていた銃を……。



シュン!



「何やってるんです!」


フラガの後を追ってブリッジに飛び込んで来たキラが2人の間に割って入る。


「……キラ。」

「坊主。」

「やめて下さい!こんな所で!!」


キラの迫力に押され、ソラヒメが先に銃を下ろした。


「フラガ大尉……。」


フラガも渋々だが銃を下ろす。


「一体、これはどういう事ですか!?」


現状を快く思っていないキラがフラガに詰め寄る。


「……どうもこうも、聞いたろ!?そういうことさ!」

「ソラヒメさん達を人質にとって脅して、そうやって逃げるのが、地球軍て軍隊なんですか!?」


その言葉にフラガはキラを睨み付けた。


「そういう情けねぇ事しか出来ねぇのは、俺達が弱いからだろ!!」

「っ……!」

「俺にも、お前にも、艦長や副長を非難する権利は……、」

「嘘つきっ!!」


頭ごなしにキラを非難するフラガの声を遮り、フレイがキラに食ってかかって来た。


「っ……!?」

「「大丈夫」って言ったじゃない!!「僕達も行くから大丈夫」だって!!」

「……。」

「なんでパパの船を守ってくれなかったの!?」

「……。」

「なんであいつらをやっつけてくれなかったのよぉっっ!!」


彼女の言葉が、涙を溢れさせている瞳がキラを責め立てる。


「……フレイ!!…キラだって必死に……、」


子供の様にまくし立てるフレイにミリアリアが口を挟む。

だが、フレイには届かなかった。


「あんた、……自分もコーディネイターだからって本気で戦ってないんでしょう!!」


信じられない言葉だった。


キラが戦ってくれたからこそ、自分達は生きている。

彼女を除く誰もがその事を理解していた。

しかし、彼女には理解出来なかった。

そして、自分の思い通りに動かなかったキラを非難した。

それがソラヒメの逆鱗に触れるとも知らずに……。


ソラヒメは静かに動き出した。


その瞳に憎しみの炎を宿して……。





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