+太陽のかけら+

□PHASE-05 目覚める刃
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「フレイどう?」


アークエンジェルの彼らヘリオポリスの学生達に割り当てられた部屋で、泣き疲れたフレイがサイの胸で眠っていた。


「ミリアリア、トール。……眠ってるよ。」


ミリアリアとトールが心配で様子を見に来た。

そこには既にカズイの姿もあり、キラを除く仲間が揃っていた。

キラはと言うと、アスランとの決別が堪えたのか、1人どこかにいってしまっていた。


「……そりゃあ、フレイの気持ちもわかるわよ。……でも、あれはちょっと酷すぎるわ!」


ブリッジでの事だろう。

フレイのあの言葉には皆、思うところがあるようだ。


「「自分もコーディネイターだから、本気で戦ってない」か……。」


フレイの頭を撫でながらサイが呟いた。


「そんなことねぇよ!いつだってキラはすごい頑張って、戦ってんじゃんかよ!」

「うん。」


サイの呟きに間髪入れずトールが反論し、ミリアリアも大きく頷いた。


「……いや、オレだって疑ってるわけじゃないさ!ブリッジに居ればMSでの戦闘がどれだけ大変なものかってのは、嫌でもわかるし……。」

「……でも、ほんとそうかな……?」

「なんだよ?カズイ!」


意味深なカズイの言葉にトールが食ってかかる。


「取られちゃったあのMS。……イージスってのに乗ってんの、キラの昔の友達らしいよ。」

「「「えっ!?」」」

「っ……!!」

「……さっきの引き渡しの時、あのコーディネイターの女の子達と話してるのが通信機から聞こえたんだ。仲の良かった奴だって……。」

「「「……。」」」


誰も何も言う事が出来なかった。


(……友達?……仲の良かった?)


誰も、サイすらも気がついていなかった。

フレイが全て聞いていた事に……。





PHASE-05
目覚める刃






「ソラヒメさん!!怪我してるじゃないですか!すぐ医務室にっ!!」


地球軍のパイロットスーツを脱ぎ捨てたソラヒメを見て、アスランが驚きの声をあげた。


「ああ、大丈夫よ。もう血も止まってるし。」

「しかし……、」

「ありがとう、アス。優しいね、君は……。」

「いえ……。」


ヴェサリウスのドック。

イージスの前に2人はいた。

そこにラクスの姿はなかった。

流石にソラヒメとは違い、こんな所でパイロットスーツを脱げないラクスはクルーに部屋へと案内されていた。


「どうかしたの?」

「えっ、いや、その……。」

「私には言えない事?」

「……。」


ソラヒメがアスランに詰め寄るが、アスランは答えられなかった。


「なんてね。言いたくなったら何時でもおいで。聞いてあげる事しか出来ないけどね。」


クシャクシャとアスランの頭を撫でながらソラヒメは言う。


「……。」

「……キラの事もさ、わかってあげて……。」

「……?」

「キラだって辛いんだよ。」

「ですが!……あいつは、コーディネイターで、俺達の仲間です!!」


今にも泣き出しそうなアスランに、溜息をつくとソラヒメは彼から離れ、イージスを見つめた。


「駄目よ、アス。コーディネイター、ナチュラルで全てを考えちゃ。」

「……。」

「確かに今、私達は戦争をしているわ。ナチュラルとね。だから、ナチュラルの味方をするキラが間違っている。」

「……。」

「私も彼が何も考えずに地球軍に組してるのならそう思うわ。でもね、キラにとって彼らはナチュラルである前に友達なの。」


イージスからアスランに視線を移し、彼の瞳を見つめて続けた。


「あなたと同じ。友達よ、アスラン・ザラ。」

「……友、達。」

「そう、友達。」


アークエンジェルの面々の姿が思い出された。

本来ならば戦争とも、戦艦とも無関係な彼らの姿が……。

優しいキラの姿が……。


「キラは、彼らが友達だから護りたい。君が友達だから戦いたくない。」

「だからって……!」

「両方大切なのよ。」

「……じゃあなんで?……俺が友達だって、大切だって言うんなら!」

「もし、私とラクスが殺されかけていたら、アスはどっちを先に助けるの?」


ソラヒメの真っすぐな瞳がアスランを射抜く。


「それは……、」

「ラクスでしょ。」

「……。」


図星だ。

だが、当たり前だろう。

自分の身くらい自分で護れる軍人のソラヒメ。

護られる側の民間人のラクス。


どちらを先に助けるかなんて一目瞭然だ。


「それと同じよ。彼らは護られる側の民間人。あなたは護る側の軍人。私がキラだったら同じ事をするわ。」

「……。」

「でも、頭で理解出来ても、心は無理よね。」


ひどく悲しそうなアスランの表情にソラヒメは苦笑した。





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