+忘却のマリア+
□第4話 リミッターとして
1ページ/5ページ
「ここ、いいかな?」
「は、はい! どうぞ!!」
カズヤに、彼のクラスメイトであるアーサー=クリプトン、ヒイラギ=カホが昼食をとっているテーブルの空席を示すとカホが勢いよく頷いた。
第4話 リミッターとして
「そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったね。2年のウエノ=ソラヒメ、リミッターだよ。ヨロシク、アオイ=カズヤ」
「は、はい。よろしくお願いします」
カズヤの隣に腰掛けるとソラヒメは食事を始めた。
「今日はシフォン会長と一緒じゃないんですか?」
「ちょっと、彼に用があってね」
「っ!? ……僕に、ですか……?」
アーサーの質問に答えると意味深な笑顔を向ける。
すると、そんなソラヒメに視線が集中した。
「まわりくどいことは抜きにしようか。忠告にきたんだよ」
「忠告、ですか……」
「サテラについて、ね……」
途端にソラヒメが冷たい眼差しを向ける。
その冷さにカズヤは身震いした。
「……誰に何と言われ様と僕はサテライザー先輩とペアを組みます!」
「カズヤ!?」
「ちょっ! アオイ君!?」
サテライザーのリミッターになるなと言われると思ったカズヤはソラヒメを睨み付けた。
そんなカズヤにアーサーもカホも慌ててしまう。
「うん。いいんじゃない?」
「えっ……?」
「サテラだっていい加減にリミッター決めなきゃいけないしね」
「はぁ……」
ソラヒメの言葉が意外だったのか、カズヤが不思議そうな眼差しを向けてくる。
その姿に苦笑する。
「別に、君がサテラと組むことに反対してるわけじゃないし。ペアなんて当人同士の問題なんだから口出ししたりしないよ」
「じゃあ……?」
「もうちょっと大人しくする様にサテラに言って貰えないかな?」
「サテライザー先輩に……?」
「君、ペアなんだし」
「でも、どうしてですか……?」
「正直困るんだよね〜。私たち他の2年生には3年生に歯向かう気なんてないんだから、サテラ一人の所為で溝ができちゃうのはさ〜」
心底困ったと言った様子でソラヒメは両手を上げた。
「まぁ、ハッキリ言えば、迷惑なんだよ……!」
「……!」
先程よりも鋭さを増した瞳にカズヤの喉が鳴った。
「で、でも!! 今回の制裁の件は、ミヤビ先輩がっ!?」
「確かにカンナヅキ先輩にも問題はあったよ。でもね、この間も言ったと思うけど、度が過ぎたサテラが悪いよ」
「それは……」
「だから、その辺踏まえて君にサテラを止めて貰いたいんだよ。……ま、無理でも、サテラに味方する様な言動は控えた方がいいよ」
にこやかに言いながらもソラヒメの視線は冷たいままだ。
「じゃないと、私が君の指導をしなきゃいけなくなるからね」
「……っ!?」
告げられた言葉にカズヤの背中を冷たい汗が流れた。
.