+忘却のマリア+

□第4話 リミッターとして
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「ここ、いいかな?」

「は、はい! どうぞ!!」


カズヤに、彼のクラスメイトであるアーサー=クリプトン、ヒイラギ=カホが昼食をとっているテーブルの空席を示すとカホが勢いよく頷いた。





第4話 リミッターとして





「そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったね。2年のウエノ=ソラヒメ、リミッターだよ。ヨロシク、アオイ=カズヤ」

「は、はい。よろしくお願いします」


カズヤの隣に腰掛けるとソラヒメは食事を始めた。


「今日はシフォン会長と一緒じゃないんですか?」

「ちょっと、彼に用があってね」

「っ!? ……僕に、ですか……?」


アーサーの質問に答えると意味深な笑顔を向ける。

すると、そんなソラヒメに視線が集中した。


「まわりくどいことは抜きにしようか。忠告にきたんだよ」

「忠告、ですか……」

「サテラについて、ね……」


途端にソラヒメが冷たい眼差しを向ける。

その冷さにカズヤは身震いした。


「……誰に何と言われ様と僕はサテライザー先輩とペアを組みます!」

「カズヤ!?」

「ちょっ! アオイ君!?」


サテライザーのリミッターになるなと言われると思ったカズヤはソラヒメを睨み付けた。

そんなカズヤにアーサーもカホも慌ててしまう。


「うん。いいんじゃない?」

「えっ……?」

「サテラだっていい加減にリミッター決めなきゃいけないしね」

「はぁ……」


ソラヒメの言葉が意外だったのか、カズヤが不思議そうな眼差しを向けてくる。

その姿に苦笑する。


「別に、君がサテラと組むことに反対してるわけじゃないし。ペアなんて当人同士の問題なんだから口出ししたりしないよ」

「じゃあ……?」

「もうちょっと大人しくする様にサテラに言って貰えないかな?」

「サテライザー先輩に……?」

「君、ペアなんだし」

「でも、どうしてですか……?」

「正直困るんだよね〜。私たち他の2年生には3年生に歯向かう気なんてないんだから、サテラ一人の所為で溝ができちゃうのはさ〜」


心底困ったと言った様子でソラヒメは両手を上げた。


「まぁ、ハッキリ言えば、迷惑なんだよ……!」

「……!」


先程よりも鋭さを増した瞳にカズヤの喉が鳴った。


「で、でも!! 今回の制裁の件は、ミヤビ先輩がっ!?」

「確かにカンナヅキ先輩にも問題はあったよ。でもね、この間も言ったと思うけど、度が過ぎたサテラが悪いよ」

「それは……」

「だから、その辺踏まえて君にサテラを止めて貰いたいんだよ。……ま、無理でも、サテラに味方する様な言動は控えた方がいいよ」


にこやかに言いながらもソラヒメの視線は冷たいままだ。


「じゃないと、私が君の指導をしなきゃいけなくなるからね」

「……っ!?」


告げられた言葉にカズヤの背中を冷たい汗が流れた。





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