+忘却のマリア+

□第6話 戦略と策略
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「初めましてであります〜。皆様方〜。ワタシはラナ=リンチェンと申すであります。皆様方、これからよろしくであります〜っ!」



ガラッ!



「あれ? ラナ〜?」





第6話 戦略と策略





「ソラヒメではありませんか!」

「同じクラスだったんだね」


教卓で自己紹介をするラナに遅刻して来たソラヒメが話しかける。


「ウエノさん、遅刻です!」

「へっ? 知ってますよ」

「ウエノさん!」

「せんせ〜、朝からカリカリしないでよ〜。いつもより早く来たじゃないですか〜」


バッチリ遅刻して来たにも関わらず、悪びれた様子の無いソラヒメに教師は深い溜息を付いた。


「もういいから、席に着いて」

「は〜い」





「ソラヒメ、どうだった? デートは?」

「えへへ〜」

「聞くだけヤボよ」

「そうでもなかったみたいですわよ」


にやけるソラヒメにガネッサが水を差す。


「……あ〜、聞いた?」

「聞きましたわ!! 私のアーサーに手を出すなんてぇっ!!ソラヒメ! もちろん、ボコボコにしてやりましたわよね!?」

「もっちろん!」

「だったらいいですわ」


アーサーから事情を聞いていたガネッサが怒り狂っていたが、ソラヒメの言葉に満足すると大人しくなった。


「なにがあったの?」

「ん〜、映画の後にちょっと変なオジサン達に絡まれちゃったんだよね〜」


ワクワクしながら聞くトリスにソラヒメは手短に説明する。


「おかげで、その後帰って来ちゃって〜」

「ええ〜っ!? 折角のデートだったのに〜?」

「うん、でもちゃんとシフォンさんのところでイチャイチャしてきたから〜」


幸せそうに思い出し笑いをする。


「そこ! 授業中ですよ!」

「「「は〜い!」」」


教師に注意されると大人しく教科書に視線を移した。

その間にラナとサテライザーの間で火花が散っていたことなど知る由も無く。





+++++





「あれ? サテラってば、また見学なの〜?」

「……関係ないだろう」


体育の授業を1人眺めていたサテラにソラヒメは声をかけた。


「冷たいな〜」

「お前こそなにしてるんだ?」

「私……? ほら、私ってリミッターだけど女の子だから、体育って混ぜてもらえないんだよね〜」


基本的に体育は男女別の為に微妙な立場のソラヒメはほとんど授業に出ていなかった。


「ただのサボりだろう」

「あはは〜! そうとも言うね」


楽し気に言うと、サテラの隣に腰掛けた。

そして同じ様に授業の様子を眺める。

ちょうどそこではガネッサとラナがフリーバトルを行っていた。


「へぇ〜、結構強いね」


パンドラとの戦いが初めてとは思えない動きを見せ、ガネッサの得意技までも最小限のダメージで受け流した。


「……やるね〜」


コレにはソラヒメも驚きを隠せなかった。


「「「……!?」」」


そして、ガネッサの懐に飛び込んだラナが構えるとガネッサだけでなく、ソラヒメもサテラも何かを感じとったようだ。

と、ここで3分が過ぎ、二人のバトルは終わった。


(なかなか出来るみたいだね〜。ラナ=リンチェンか……)


人知れずソラヒメの瞳が細められた。





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