+忘却のマリア+

□第7話 本当の制裁
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「みんなお止めなさい! そのまま動かないで下さい!!」

「シ……、シフォン……! 生徒会長……!?」


シミュレーションセンターの扉にはシフォン、ティシー、そしてソラヒメの姿があった。





第7話 本当の制裁





「どうして、ここに……?」


突然の訪問者にアティア、アーネット、クレオはもちろんの事、サテライザーとラナも驚きを隠せなかった。


「……ソラヒメ!? あんた喋っちゃったの!?」

「ご、ごめんなさ〜い!」

「あんたねー!」


シフォンの後ろに隠れているソラヒメに気が付くと、アーネットは怒りを露わにする。


「ソラヒメの事を怒れた義理ではないでしょう? これは一体何事ですか……」


呆れた様に溜息を付きながらシフォンと、ティシーは両者の間に割って入る。


「同じパンドラ同士が満身創痍になるまで争うなんて……、直ちに武装を解除し戦いを止めて下さい」

「シ、シフォン……、これは私達3年の有志に対する重要な……」

「校則違反……、ですよ」


止めに入ってきたシフォンにアティアが説明するが、ソレをシフォンが遮る。


「どんな事情があろうが決まった対練以外でのパンドラ同士の戦闘を禁ずる。3年になってそんな当たり前の事も知らないのですか?」

「そんなの……!! そんな下らない理屈なんて知るかー!? この状況を見てもまだわかんないの!?」

「わかりません」


シフォンの正論にアーネットが怒鳴るが、ケロっと答えるシフォンに思わずよろけてしまう。


「校則でも……、罰則でも……、マトモな話しようってんなら……、取りあえずこいつらを……!! メチャクチャにした後に聞くわよー!!」

「ダメです!!」


怒りが頂点に達したのか、シフォンの静止も聞かずに、アーネットはサテライザー目掛けてボルトウェポンを振り下ろす。



カガッ!!



「ぐ……、ぐっ……?」

「動いたの……!? 学年順位3位の……!! ティシー=フェニール!!」


だが、それもサテライザーを庇う様に立ち塞がったティシーに受け止められた。


「か、会長の言う通りです……! 行動を慎んで下さい……!」

「くぅ……! ティシー!! 前回のカーニバルではあんたに一本取られたけどね……!!」

「ダメだと言ったでしょう?」

「……!?」



ドバッ!!



「か……、はっ……!!」


いつの間に動いたのか、突然アーネットの背後に現れたシフォンは彼女の首筋に手刀を浴びせた。

何が起こったのか理解する事なくアーネットは気を失い崩れ落ちる。

そんなアーネットをティシーが受け止めた。

その場にいた皆、いつシフォンが動いたのかわからなかった。

これが学年1位シフォン=フェアチャイルドのイリュージョン・ターンだ。


「貴方も……、おやりになりますの?」


一向に引く気配を見せないアティアと、クレオに静かに告げると、2人は顔を見合わせる。


「ダメですよ。ソレだけは私が許しませんよ、アティアさん、クレオさん」


いつの間にかソラヒメがシフォンを庇う様に2人の前に立ち塞がっていた。

そして、その瞳は冷たく細められていた。

思わず2人が身震いするほどに……。


「わかったわ、シフォン会長……。これで終わりにする……」

「それじゃ……、自分で歩ける生徒はついて来るとして……、余裕がある人は負傷者を運ぶのを手伝ってくださいね」


ようやく引いたアティアに溜息を付くと、テキパキと指示をしていく。


「アティアさん……、ごめんなさい……」


先程の冷たい眼差しが嘘の様にシュンとした顔でソラヒメはアティアに謝る。

ウルウルと今にも泣き出しそうな顔のソラヒメにアティアは溜息を付いた。


「もういいわよ。怒ってないから、そんな顔しないの」

「ほんとですか!」


途端に満面の笑みを浮かべる。

「よかった〜」と胸を撫で下ろすソラヒメにアティアも、クレオも苦笑する。


「ソラヒメ? 行きますよ」

「は〜い!」


ニコニコと嬉しそうにシフォンの後を追いかけていった。





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