+忘却のマリア+
□第8話 譲れないもの
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5人だったソラヒメが7人に増え、ソラヒメ4人対ラナ4人、ソラヒメ2人対サテラ、そして最後の1人は相変わらず傍観という状況になった。
これだけの時間5人を維持しているだけでも驚愕なのに、さらに2人増やしてもソラヒメは平然としていた。
第8話 譲れないもの
「パフォーマンスにしては少しやりすぎではありませんか? ソラヒメ」
「何だ。気付いてたの?」
「あなたらしくありませんから、こういう強引なやり方は……」
「そうかな〜?」
ソラヒメは誤魔化すように笑う。
パフォーマンスというよりは、見せしめというのが正しいだろう。
一見すれば、売り言葉に買い言葉のケンカのようだが、全てソラヒメの計算通りであったのだ。
エリザベスが手を引くと言ったとはいえ、ソラヒメは納得出来なかったのだ。
エリザベスが出る事が汚点になるのならば、自身の手でケリを付けようと……。
ラナがエリザベスにケンカを売ってこなければ、自分から売っていたであろう。
「……本当に、強いでありますね、……アナタは!」
そんなソラヒメにラナは苦々しく唇を噛み締めた。
1対1という先程よりも少しはマシな状況になったかと思うのも束の間、すぐにソラヒメはラナの動きを見切り、ラナは再び防戦一方になる。
「がはっ!!」
「ダメだよ、よそ見してちゃ〜」
その様子に一瞬気を取られたサテライザーの鳩尾にソラヒメの拳が減り込んだ。
そのままたてつづけに鳩尾に打ち込み、サテライザーの動きが止まるともう1人のソラヒメが回し蹴りを喰らわせる。
「ぐはっ!!」
吹き飛ばされたサテライザーは壁に叩きつけられるとそのまま動かなくなった。
「さてと、こっちも終わりにしようか? ラナ」
「くっ!」
「ちょうど試してみたいのがあったんだ」
ソラヒメが無邪気な笑みを浮かべると、ラナの相手をしていたソラヒメのスピードが増した。
「……っ!?」
ラナが身構えるよりも早く懐に飛び込んだソラヒメの右腕がラナを捉える。
サテライザーよりも大きく吹き飛ばされたラナは1人に戻っていた。
「……どうして、アナタが……、ソレを……?」
「『炎牙』って言ったっけ? 案外難しいね」
ラナの瞳は驚愕に見開かれ、見よう見まねで炎牙を放ったソラヒメの身体はうっすらと光を纏っていた。
「ちょっと時間かけ過ぎちゃったね」
「行きましょうか」
「うん」
一仕事終えたソラヒメはエリザベス達と食堂を後にしようとする。
だが、その後ろでサテライザーが立ち上がった。
「コレは計算外だな」
「……私は負けない!」
「やめときなよ。そんな身体でさ〜」
構わずにサテライザーはソラヒメに向かっていく。
だが、ソラヒメは笑みを浮かべたまま紙一重でソレを躱す。
「私は誰にも負けない!!」
「……聞き分け無いな〜」
満身創痍のサテライザーの身体から光の翼が現れた。
途端に彼女の動きが変わる。
「あれよ! 昨日の!」
アーネット、クレオ、アティアには見覚えがあった。
(ダブルアクセル? ……2年生でここまでやるなんて……!)
話を聞いていたエリザベスも真剣な表情で2人の様子を見守る。
(……スピードは増した。でも、それだけじゃ私には勝てないよ……)
それでもソラヒメは笑みを崩さない。
その勝ち誇った笑みが癪に障るのかサテライザーの攻撃一撃一撃が威力を増していく。
「そんなにカッカしてて疲れないの?」
「うるさいっ!!」
サテライザーが怒りに任せてボルトウェポンを振り下ろすが、ソレを難なくかわす。
だが、次の瞬間にはサテライザーはソラヒメの背後に現れていた。
(っ!? ……ノーインターバルダブルアクセルか……!)
「ソラヒメ!!」
一瞬、反応の遅れたソラヒメにエリザベスの声が飛ぶ。
ガガッ!キィィーン!
「流石は『接触禁止の女王』様……、だね!」
「っ!?」
再び展開したボルトウェポン−インフィニット−でソラヒメは振り返る事無くサテライザーのソレを受け流し、逆に斬りかかった。
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