小説
□朽ちても尚、想う二人・・・
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「くっ…!」
急に、体が言うことを聞かなくなった。
刀を地面に突き刺して、体を支える。
ぽたぽたと頬を伝うのは、真っ赤な血。
自分の血か、はたまた他の誰かの返り血か…もう区別がつかない程体は血に染まっている。
足元にゴロゴロと転がる屍達。
敵も、味方も沢山入り交じり倒れている。
視界がぼやける…
濃くなっていく血の臭いが頭を刺激し、羅刹の本能が俺を追い込んでいく。
それでも、まだ『俺』でいられるのは、アイツがいるからだ。
今頃、江戸でどうしているだろうか。
「総司…」
呟いても来ないのは分かっているのに、
それでも言わないわけにはいかなかった。
せめて、最期に一度だけ。
会いたい…。