キョンのNOVEL3

□二章
2ページ/2ページ

当時雪は、活発な女の子で僕達男の子とよく混じって遊んでいた。
毎日のように一緒にいたあの時が一番楽しかったような気がする。
そんなある日、僕は彼女に自分のお気に入りの場所に案内した。
丘の上から見える街の景色。
夕日が見える時は美しいとしか言えないような場所。
彼女はそこを気に入ってくれた。
それ以来、毎日遊び終わってはその場所に足を運んだ。
そして、一つの約束をした。
どんな時でもいつも一緒にいよう。
どんな時でも一緒だよって。
あの時はそんな感情はなかったけど、今思うとあれは恋だったのかもしれない。
だが、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
親の都合で隣町に引っ越さなければならなくなって彼女は行ってしまった。
それ以来、僕は一度も会ってはいなかった。

こんな形で再会することになるとは。
それにしても、あの時とは随分雰囲気が違う。
あんなに活発だった子がこんなにおしとやかになるとは。
時の流れとは恐ろしいものだ。
「あのロングヘアーは俺のストライクゾーンだぜ。燃えてきた、燃えてきたぜー!」
横で何か言っているが、面倒なので無視することにした。
「席は…、あの一番後ろの席に座ってくれ」
僕の隣だ。
こっちに歩いてくる雪に僕は話しかけようとしたが、何故か気が引けた。
すると、雪の方から話しかけてきた。
「二人とも、昨日は助けてくれてありがとうございました」
「いやいや、気にすることないって。それよりも、今日学校終わったら一緒にラbフギャアッ!!」
僕は拡輝の顔を押さえつけながら笑顔で返した。
いきなり何を言い出すんだ…こいつは。
先生が教室を出たのと同時に雪の周りに女の子達が集まり出した。
口々に何かを話したりしているが、よく聞こえない。
続いて男子達が雪の方に凄い勢い向かってきている。
しばらく経つと、女子と男子がなにやら言い合いをしている。
その中には、当然のように拡輝の姿があった。
相変わらずだな、あいつも。
「凄い人気だよね、西田さん」
「そうだな、まぁあれだけ可愛かったらしょうがないか」
やはり真はあの集団には入っていないようだ。
さすがは紳士と名称されるだけある。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ