キョンのNOVEL3

□三章
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次の日の昼休み、屋上で拡輝と真を呼んで雪のことを話した。
「…なるほどな。ていうか、雪ちゃんってお前の家の前に住んでいるのかよ」
「それは置いといて、何だか大変な話だね。自分の身の回りでそんなことがあるなんて驚いたよ」
まぁでもみんなに相談したところでどうにもならないのは自分でも分かっているけど。
「気にすることないと思うよ? これからまた色々とあるかもしれないし」
確かに真の言う通りだ。
だが、雪の記憶が失ったからといって約束を破っても良いのだろうか。
相手は他に彼氏もいるし、誰から見ても僕は何をしてもいいと思うだろう。
でも僕にはそれがとても悪いことのようにしか思えなかった。
優柔不断だから思い切ったことができない。
「そんなに悩むなよ? だったら、今日は遊びに行こうぜ!!」
そうだな。気分がぱっとしないし行くだけ行ってみようかな…。

それから数時間があっという間に過ぎてしまい、放課後になった。
向かう先はもちろん一つだ。
昼間からライトアップされている二階建ての建造物。
中に入ると、いつものように人が色々なところでゲームをしている。
「今日は何から始めようかな」
「おいおい、そんなに焦らなくても時間は
沢山あるんだし」
「ゲーセン来たの久しぶりだなぁ」
三人で色々まわっているうちに、一つのゲーム機に十人以上の人だかりができていた。
「何だありゃ。とりあえず行ってみようぜ」
拡輝を追いかける形でそこに行ってみた。
「すげぇ。絶対勝てねえよ」
ギャラリー達が口々に何かを言っている。
プレイしている人を見ると、この地域では有名なゲーマーだ。
「智也、やってみろよ。かなり強いぜ、あの人」
拡輝や他校の友達に進められ、対戦してみた。
僕も一応ゲームには自信がある。
でも、やはりそう上手くはいかず負けてしまった。
次に真がやってみたが呆気なく惨敗。
他の人達も挑戦していったが、誰も勝てずに時間だけが過ぎる。
「しょうがない。この俺がやってやるぜ」
名乗りをあげたのは、拡輝だった。
ちなみに、拡輝もこの地域では有名だ。
「凄い高レベルな戦いだ!」
「動きについていけねぇ!」
ギャラリー達が歓声を上げる。
拡輝、いつの間にそんなに上手くなったんだ?
それよりも、そんなことをする暇があるなら勉強しろよ。
こいつは僕と真よりかなり成績が悪い。
五分が経った。
「あぁ、引き分けか。惜しかったな」
ゆっくりと立ち上がってこっちに
戻ってきた。
「拡輝、お前いつの間にそんなに強くなったんだ?」
「確かに気になるよ。前までは僕の方が強かったのに」
「いやぁ、家で練習していたらいつの間にかこんな感じに…」
その後も色々なゲームで対戦を繰り返し、気がついたら夜の七時になっていた。
いやぁ、久しぶりによく遊んだ。
大きく背伸びをしながら店を出た。
「今日は楽しかったな。三人で遊ぶのも久しぶりだしな」
僕らはさっきまでのことを話ながら家路についた。
帰る途中にある公園の木は紅葉で見事な美しさになっていて、ライトアップされていてまた一段と輝きを放っている。
あれ? 何かが落ちている。
路肩の方に自転車を止めて、落ちているものに目を向けると、見覚えのあるペンダントが落ちていた。
イルカの形をしたペンダントを拾おうとすると、向こうで拡輝と真が呼んでいる。
そういえば今日は僕の家で泊まることになってるんだった。
いそいで二人の後を追いかけて僕の家に向かった。
 

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