The end of eden〜楽園の終焉〜

□第五話
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がっさがっさと袋を揺らせて、俺と六道さんは並んで帰る。

やっぱりというか予想通りというか、六道さんは袋を持ってくれませんでした。

多分、相手が女の子ならば紳士の如く荷物を持っていただろうな、と思うが。

まぁ、持ってもらったら持ってもらったで気味が悪いから別に良いけどね。

早く帰らないとな、雲雀さん待っているだろうし・・・ん?あれ?





「・・・何で、六道さん此処にいるんですか?俺、家で待っているように言いませんでした?」





つか部屋から出るなって言いましたよね?

何あっさりと人の言いつけ破ってんですかね、この人は。

六道さんを見上げれば、彼は何を今更訊いてんだこいつっていう顔を浮かべてました。酷いな!





「僕が大人しく、雲雀恭弥と一緒に居ると思えますか?」

「いいえ、全くもって思いません」

「でしょう?間違いなく殺し合いを始めてましたよ。まぁ、僕の勝ちは目に見えてますがね。ですが、あのままでは家が全壊しそうでしたから、態々僕がこうして君を迎えに来たんですよ」

「・・・」





え?何?この、『この僕がここまでしてやったんですから、礼のひとつくらい言ってくれません?』的な雰囲気は。

あれ、俺が悪いの?どちらか連れてけばよかったって?んな馬鹿な!

というか、迎えにって言いますけどね、手ぶらで荷物持ってくれてないからあんま役に立ってませんから!残念っ。

余計に俺が神経をすり減らさなければならなくなりましたからっ!!

て、ことで悪いけれど話は逸らさせてもらいまっす!





「あー、そういえばさ。さっきジャンプ読んだんだけど、何かジャンプからREBORN!の存在が消えてたよ」

「おや、感謝の言葉が出てくると思ったんですが、遂には無視ですか?」

「友人にも訊いたら、REBORN!の事知らないって言われましたし」

「ああ、無視ですね?シカトですね?」

「やっぱり六道さんと雲雀さんがこっちに来た事が原因なのかもしれませんねぇ」





俺は何も聞こえない、聞こえないっ!悪夢が何か言ってるけれど、聞こえない振り聞こえない振り・・・っ!

これ以上、俺の心労を増やさないでおくれよ!





「ところで、その」





唐突に真剣な声が響き、俺は思わず六道さんを見遣った。・・・おおぅ、しまった。何か見てはならないものを見た感じだぜ。

彼は俺の視線に気付き目を合わせる。

青と赤の瞳。

じっと見つめて、口を開く。





「六道さん、と呼ぶのは止めてください」

「は・・・?」





何かと思えばそんなこと?

それが伝わったのだろう、六道さんは片眉をピクリと持ち上げた。





「君にはどうでも良いでしょうが、僕にはその名は呼ばれなれてないのですよ」

「はぁ・・・」

「それに、これから一緒に暮らすんですから、いつまでも苗字呼びは困ります、僕が」

「アンタかいっ!」

「ええ、君をパシリに使う時に、幾らか仲の良い所を見せないとご近所で僕の評判が下がりますからね。ああ、勿論僕は有象無象の奴らの言葉なんてどうでも良いんですが、やはりそこは、ねぇ?」

「・・・本人目の前にしてパシリ発言来たよ!そして同意を求めるな!」

「そういうことですので、これから苗字で呼んだら酷い事になりますよ。大人しく従ってください」

「・・・ち、ちなみにうっかり苗字で呼んじゃったら・・・?」





恐る恐る問う。返答によっては、変わらず六道さんって呼んでやる。せめての反抗だい!・・・俺の反抗小せぇなぁ。

自分のしょぼさを確認してどんよりとする。そして、六道さんを見遣れば。





「・・・クフフフ、聞きたいですか?」





にやりと口端を吊り上げて妖しく笑う、六道さん。

やばい、こいつはマジだっ!!





「いいいいえええ、これから絶対に苗字で呼びませんです、はいっ!!」

「分かれば良いのですよ」





にっこり、と笑った。

こえー、こいつ怖えー。黒いよ!今のこの人の笑顔黒かったよっ!何!?これが噂の腹黒!??













うん、俺絶対苗字で呼ばないっ!!
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