The end of eden〜楽園の終焉〜
□第六話
1ページ/2ページ
少し遅めの夕食。
俺が作っている間、ずっと雲雀さんと骸さんは目で早く作れと訴えていた。特に雲雀さんが。怖いって。
というか、早く作れと目で訴えつつも、彼らは一切手伝おうとしなかった。
まぁ、そうだろうと思ったけどね?・・・別に悲しくなんてないやい!
いつもよりちょっと高級なカレーを食べつつ、俺は先ほどの話を雲雀さんに話した。
少しくらい反応があるかなぁと思えば、・・・お前もかブルータス。
「ふーん、そうなんだ。いいんじゃない?僕としては自由に行動できるから都合が良いけど」
そう言って、カレーを一口。
彼らの好みをうっかり聴き忘れて、適当に辛口にしたが特に支障はないようだ。
俺は全く危機感を持たない彼らに、溜息を吐きたくなったが何とか堪えた。
また、トンファーで殴られそうだし。
「それよりも僕は、君が親にどう僕達の事を説明するのか気になるんだけど」
「そういえば、どう言うんですか?」
不思議そうにこちらを見遣る瞳。俺はおや、と軽く目を瞠った。
「あれ、言ってなかったけ?俺、両親共々俺が生まれて直ぐに亡くなってるんだよ。だから俺は今一人暮らしだよ。だからそんなに気にしなくて良いよ」
スプーンを口に運ぶ。・・・うむ、今日のカレーは中々の出来だ。何せ、ちょっと高級な野菜を使ってるしな。
もしゃもしゃと食べていると、二人は何処か意外そうな顔をしていた。何故に。
「ちょいとお二人さん、何でそんな俺が一人暮らししてることに不思議がってるんだい」
「意外に、君は不幸な少年なんだと思ってね、君の両親も喧しいと思ってた」
「・・・喧しいって何よ、喧しいって」
「では、君をここまで育てたのは、誰ですか?まさか一人で生きてきたというわけではないでしょう?」
お茶を一口飲む。俺は微かに眉根を寄せた。
「・・・何か、さっきから質問ばかりだね。聞いてもどうしようもないのに」
「ただの好奇心だよ、良いから早く答えなよ」
いち早く食べ終えたらしい雲雀さんが、じっと見る。
骸さんも興味があるのか、こっちを見ている。
好奇心旺盛だなぁ、子供かよ。
そっと溜息を吐いて、俺は口を開いた。
「さすがの俺でも一人じゃ無理だなぁ。両親の幼稚園の頃からの悪友の人に育ててもらったんだよ。俺の後見人」
「へぇ。で、その後見人に僕らの事説明しないの?」
「しないよ。だって今その人海外に旅行中だし、滅多なことじゃこの家に来ないし、連絡もない。そもそも、昔は兎も角今じゃ別々に暮らしてるしね。知らせる必要はないよ」
後見人が、両親の知り合いになっているのは、祖父母も既に亡くなっているからだ。
ちなみに、後見人も陰陽師だ。聖と同じく安倍家の人間。
海外に居るが、仕事と旅行も兼ねている。数年は帰って来ないとか何とか言ってたしな。
高校に進学と同時に後見人は海外へ行くって言って、俺は後見人の家を出て一人暮らし。
「(そうか、あの人の家を出てもう一年経っているのか)」
改めて認識したよ。