The end of eden〜楽園の終焉〜

□第八話
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骸さんが入浴中に、籠の中に浴衣を置きに行くと。





「幾ら僕が魅力的だからと言って、覗かないでくださいね」





思わず頬が引き攣った。

というか。





「誰が覗くかっ!」





ぐわっと叫んで、勢いよく戸を閉める。

浴室から笑ったような気配がしたのはきっと空耳。

怒り冷めらぬと言った感じのまま、俺は一階の客間に入った。

雲雀さんと骸さんの部屋をセットする為に。

さすがにあの二人を同室にはせず、向かい合わせだ。





・・・後から向かい合わせでも文句は出るだろうが、このくらいは我慢しろと言ってやる。





結構な数、とは言い難いが余った部屋は幾らかはある。

使われていない部屋は大概本で埋まっているはずだ。

あの二人が来て、一番ほっとしているのは、呪術や陰陽術の本が部屋に一冊も置いてなかった事だ。

陰陽術関連の本は地下。隠し部屋にはある。





・・・二人が寝た後にでも、誰にも気付かれないような術でも掛けておこう。





まずは、と俺が入った部屋は雲雀さんの部屋の予定の部屋だ。

そもそもうちは日本家屋故に、ベッドではない。というわけで敷布団だ。このくらいは仕方ないだろう。

押入れから布団を取り出して、旅館並に綺麗にセットする。皺ひとつないように。

何て言うか、雲雀さんってお姑さんって感じ。タイプが。

お嫁さんが掃除した所を、人差し指でつつー・・・、これが掃除したって?やり直しなさい!みたいな、ね!

正しく嫁いびり!て、ことで出来うる限り綺麗にしておく。

一生懸命やったおかげで、何とか皺ひとつ無い布団完成!





やったね、俺。これでお姑さんに文句言われないぞ!・・・って違う、雲雀さんにだ。





やれやれと一息ついた、その時。カタン、と小さな音が鳴って俺は振り向いた。

そこには、柱に寄りかかって腕を組みながらこっちを見つめている雲雀さんが立っていた。

俺は軽く目を見開き、雲雀さんを見据える。





「どうかしたんですか、雲雀さん?」





問うものの、雲雀さんは一向に答える気配を見せない。ただじっとこっちを見ている。





な、何だろう。この沈黙怖いよ!俺、何かしたかっ!??





けれども口を開こうとしない雲雀さんに、さすがの俺も痺れを切らして立ち上がった。

骸さんの方も布団用意しないといけないし。

まぁ、あっちは適当でいいや。





「えっと、雲雀さん?用が無いんでしたら、俺次骸さんの布団用意しなきゃいけないんで、これで失礼しますね」





へこへこ、と何でか俺がお辞儀しつつ言うと、何でか漸く雲雀さんが口を開いた。

何故にこのタイミング。





「・・・いつの間に、あいつのこと下の名前で呼ぶようになったの?」





思わず目を丸くしたのは、きっと言うまでもないと思う。

何でそんな事訊くんだろう、と思ったが雲雀さんの目が早く答えろと訴えているので、早く答えた方が身のためだ。





「いつの間にって・・・、さっき骸さんが俺を迎えに来た時に、苗字で呼ぶのは止めてくれって言われただけですよ。断じて、俺の意思じゃあありません」

「ふーん」





また、心底どうでも良さそうな返事っ!訊いておきながら、何よこの子っ!俺、一応年上なのにっ!
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