02/02の日記

15:30
一年限りの魔法使い(蒼天×魔法)
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〜第二幕〜


※第一幕からの続き。
文章後半がキャラと文体が著しく崩れますのでご注意ください。








とりあえず詳しく話しを聞かねばと蒼樹はアルバス・ダンブルドアを家へ招き入れた。

見知らぬ、しかも外見怪しさ満点からか、珊底羅や宮毘羅に大層疑問の視線を投げられた。

が、そこは今から話すと言い切り、皆をダイニングルームに集めた。

よくは解らないが、敵ではない事は理解した因達羅がお茶を持ってくる。

礼を述べれば、小さく笑みで返された。

ダンブルドアはというと、何処で知ったのやらきっちり正座をしている。

興味深そうに持ってこられたお茶に視線を投じ、本日のおやつである練りきりに目を輝かせていた。

しきりの観察を終えたらしいダンブルドアは漸う蒼樹たちへと姿勢を正す。

初めに口を開いたのは蒼樹からであった。




「俺も頭が混乱しているんですが、まずは幾つか質問をしても宜しいですか?」

「うむ、構わんぞ」

「Mr.ダンブルドア・・・貴方は、魔法使いだと言いましたが・・・?」

「そうじゃ。イギリスにあるホグワーツ魔法魔術学校で校長をしておるよ」

「では、さっきの木の棒のようなものが・・・」

「そうじゃ、あれが杖じゃ。英語が苦手だと君が言ったのでな、魔法をかけて言語の壁を壊させてもらったのじゃ」




そうでなければ、話が進まぬからのぅ。

などと穏やかに笑って見せるダンブルドアに、蒼樹はただ驚き入る。

そんな容易く言語の壁を破るとは。

さすが魔法。一応科学の部類に入る陰陽術では到底無理である。

魔法の存在云々に関しては、陰陽術があるのならば、魔法もあるだろうという考えからである。

ダンブルドアの魔法使い宣言は、背後に座る十二夜叉大将に渋面を作るのに容易かった。

信じていない、というわけではない。存在は知っている。だが、その魔法使いが蒼樹に何用かと警戒しているのである。

さて次の質問は?蒼い目に促される。




「・・・では何故、俺の名前と俺が陰陽師であると存じておいでで?」

「ふむ、それを答えるにはわしがここに来た理由から説明せねばなるまい」




説明しても良いかの、と告げられ蒼樹は黙って頷いた。

曰く、ホグワーツでは一月前から奇妙な事が起こっているそうだ。

化け物を見る、何かに襲われる等々、見るだけならば何かの見間違い、ゴーストでも見たと言い切れた。

しかし怪我人が続出しているとなると話は別である。

教師達は夜な夜な回り、原因を探るがどうしても判明しない。

さしものダンブルドアも頭を悩ましていた矢先、神と名乗る女性が現れたのだ。




「神?」




まさかこの場面で神が出てくるとは思わなかった。

目を見開く蒼樹に、ダンブルドアは黙然と頷く。

ひっそりと、蒼樹の脳内に嫌な予感が一瞬だけ過ぎった。




「ちなみに、名前・・・名乗りませんでしたか?」




名を知っている神、となればどうみても異国の神ではない。

そうなれば日本の神々に限られてくる。

日本の神のほとんどと蒼樹は知り合いであるため、誰かまでは計り知れない。

が、そんな面倒そうな事を頼みそうな神は容易に思いつく。

恐る恐る問う蒼樹に事情を知らないダンブルドアは微かに首を捻ったが、さらりと言った。




「確か、タカオカミノカミと言ったかのぅ。中々難しい名前でのぅ、もしかすれば違うやもしれぬがの」




思いっきり予感が的中。思いっきり嬉しくない。

引きつく蒼樹と十二夜叉大将。その中で、迷企羅に至っては素敵な笑顔を浮かべている。

彼らの表情で、どうやらその神と知り合いだとダンブルドアは悟った。更に続ける。




「その神が、生徒を襲っているのはアヤカシというものだと教えてくれての」

「・・・それで俺をご指名、ですか?」

「そうなんじゃよ。魔法使いでは倒せぬと言われての。ではどうしたら言いかと聞けばお主を紹介されたのじゃ」




じゃがその様子では聞かされてはおらぬようじゃのぅ。

いやはやと髭をさすりつつ告げるダンブルドアに、がくりと項垂れた。

全く聞いておりませんことよ、高淤さん。




「そこで大変申し訳ないんじゃが、お主に退治してもらいたいと思い今日来たのじゃ・・・」

「・・・この時代の陰陽師は極秘扱い。平安が全盛期であったが、明治に入ると政府が神仏分離政策により、陰陽道を廃止。尤も廃止になったのは表の世のみで裏方では存在していますが。が、陰陽師を生業にしていると知るのは国のトップのみ」




申し訳なさそうな表情のダンブルドアの頼み事に答えず、蒼樹は違う事を語りだした。

ダンブルドアは疑問の色を顔に出したが黙って聞く事に徹した。それは十二夜叉大将も同じく。




「貴方も陰陽師がいることを知ったのは高淤・・・高淤神から聞いたのが初めてでは?」

「そうじゃな。元より、魔法界においても日本という国は神秘であり一番解明されぬ国じゃからな」

「・・・当然です。陰陽道には呪術がありますから。深く浸透されては困ります」

「成る程・・・お主が危惧しておるのは広まることじゃな」

「ええ。ですが、断るとは言ってませんよ」




打って変わって、にっこりと笑った蒼樹をダンブルドアは目を見張った。

ぎょっとしたのは十二夜叉大将である。




「ばっ、何言ってんだ蒼樹!」

「そうだ、英国に行くというのか!」

「え、行くけど」




口々に飛び出す言葉に、蒼樹はあっさり頷く。

それに対し、驚いたままのダンブルドアが問うた。




「・・・良いのかの」

「勿論ですとも。誰かが傷ついているならば、尚更。俺をホグワーツに連れて行ってください」

「済まないのぅ、心から礼を言おう」

「お気になさらず。・・・で、ホグワーツでの大雑把な規則とか聞かせてくれると有難いんですが」

「うむ、そうじゃな」




それから十分程、ホグワーツの事を聞いた蒼樹はふむと頷いた。

ホグワーツは全寮制であること、そして寮は四つあること、七年生まであること、なんと言っても図書館が広いこと。

在籍中ずっと読んでいようとも到底総ての本は読めきれないだろうと、ダンブルドアは頷く。

それを目を輝かせて聞いていたのが蒼樹である。

幼い子供のような瞳に、夜叉大将達は溜息を零した。




―――本当に、千年経とうともそういう所は変らんな。




十二夜叉大将の溜息が微笑に変ったのを、ダンブルドアは話しながら気づいた。

そうして、粗方説明が終えると、蒼樹は話を吟味するように何度も頷き、ゆっくり咀嚼する。




「大体の事は掴めました。―――ただ幾つか条件があります」

「条件?」

「一つ目、絶対に誰にも俺が陰陽師だと言わない事。先程も言いましたが、あまり広めたくないものですから。二つ目、門限があると言いましたが、それに俺を外す事。妖は夜活動しますので」

「ふむ、一つ目は良いとしてもじゃ、二つ目は誰かに見つかったらどうするんじゃ?」

「・・・見つからなければ良いのです」




にんまりと自信満々に言い切った蒼樹に、ダンブルドアは成る程と頷いた。

過信ではなく、自負なのだろう。言葉と表情、そして十二夜叉大将の表情から窺える。




『見た目も年齢もお前の方が上だが―――いや?ある意味では年齢はあいつが上か。それに実践経験もあいつの方が上だろう』




唐突に頭に浮かんだ、神の言葉。

聴いた時は何を言っているのか分からなかったが、実際会って見ると、成る程。

彼らの言葉と神の言葉。

確かに、“ある意味”年上のようで、実戦経験もかなりあるらしい。

しかも彼はきっと、自分ひとりだけで戦うのではなく、彼の周りにいる皆と共に戦うのだろう。

彼と同年代の魔法使いに、同じような人間はいない。知識も、実戦経験も。

だから、というわけではないが、微笑を浮かべる彼を見て、何故だか任せても良いと強く思ってしまった。

その笑みは、実戦経験豊富な者が見せる、不敵な笑みにも似ていた。




「あのー、MR.ダンブルドアー?」

「・・・、ん?どうしたんじゃ?」

「それは俺の台詞ですよ。どうしたんですか、ぼぅっとして。はっ、もしかして高淤に何か言われました!?」

「ほっほっほ、なんでもない。色々と教えてはもらったが、君が気にするようなことは何も聴いてはおらんからの」

「本当ですか・・・?」




胡乱気に見つめる蒼樹を笑顔で応対し、それは君に任せようと告いだ。

その言葉に蒼樹は暫しわぁわぁ騒いでいたが、諦めて話の続きを促した。





「それで、その、ホグワーツ?でしたっけ、に必要な道具とかは・・・?」

「おお、そうじゃな。イギリスのダイアゴン横丁に全部売っているんじゃが、そうじゃなぁ、わしも一緒に行こう☆」

「・・・は?いやいや、俺ひとりっていうか、皆で行くんでいいですよ。場所とリストさえいただければ」

「いやじゃ。わしも行くんじゃ。じゃないと、リストあげないもん」

「もん、とか!!いい年した大人なんだから、ちょっとっ!!というか校長なんだから忙しいのに、俺なんかに付き合わなくても!」

「大丈夫じゃ!わしは行くと決めたら、行くからの」




暫くの間、来なくていい、だの、行くんじゃ、だの、と至極どうでも良い会話の応酬をしていたのを、夜叉大将たちは遠巻きで見ていた。

不思議とその光景に、デジャ・ヴを憶える。




―――あれ?こんな言い合い、どこかでダンブルドアによく似た狸としていたような気が・・・?




その頃、名は出なかったが、某狸が、季節違いにも甚だしい大きなくしゃみをしたという噂があったようななかったような。

最終的に、場所とリストをもらえないと行けないということで、蒼樹が敗北した。

夜叉大将達はそれを見て、やっぱりな、と呟いた。




「それじゃ、来週迎えに行くからの☆」




そう言って、ダンブルドアは来た時と全く違うハイテンションと満面の笑顔で去っていった。

ぽつん。

ひとり玄関先で見送った蒼樹はダンブルドアが消えたところを見つめながら、溜息をひとつ。





「―――さて、昌浩達に説明しに行きますか」







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第三幕に続くーわけではありません。

目茶苦茶続く感じで終わりましたが、続きません。

昌浩の名前が最後に出たのに、当人でないとか!


それにしても夜叉大将が喋らない喋らない。
人見知りですか。まぁ、ダンブル怪しさ満点だったしね!

そのダンブルも最後にはテンションおかしいし。
おかしいな、そんな感じに持っていくつもりはなかったのに。



ちなみにメモ帳では、買い物に連れて行くのはダンブルか教授で迷ってたみたいです。(スネイプ教授)

でも敢えてのダンブル。

多分、教授には蒼樹が陰陽師だってことを隠して隠して、違和感持たせつつ、教授と蒼樹の正体を暴こうとする者とはぐらかす者の応酬をしたかったんだと思います。

つまるところ、晴明様と蒼樹さんのやり取りのような!

・・・はい、そこ、本当にそういうの好きだねーって呆れた目でみない!


でも多分ね、蒼樹さんも伊達に晴明様と渡り合ってきたわけじゃないから教授では難しいかもしれないね。



実は、この蒼天魔法、これともうひとつ出だしが違うのがあったりします。
あんまり変ってないんですけどね。
第一幕と第二幕の話を、ホグワーツ行の列車の中で回想しているっていうだけのものです。


多分、続きは気が向いたら書く、かも。きっと・・・恐らく・・・。

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