少年陰陽師

□闇の呪縛を打ち砕け
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零時を過ぎた頃、ある一部屋に灯りが灯っていた。男は言った。

「来る時が来た。お前しか持ちえていない力を使って、あちらへ飛んで経験を積んできなさい。それと…」

『わかってるよ、父さん。アレの殲滅と高淤神への挨拶でしょ』

そうこれは親子の会話だ。

「晴明様に迷惑や我儘を言わないようにね、秦。」

『大丈夫だよ、母さん。ちゃんと手伝いもするから。じゃあ行ってきます。戒、銀月行くよ。』

秦は瞬歩を使って貴船に向かった。

「行ったか…四神様、我が子を頼みます」

<<ああ、必ず守る。心配するな…>>

男の声が部屋に響いた。


†††

―貴船―

『高淤の神、数年こちらを離れます。何かあれば我が式、時渡りの空羅の名をお呼び下さい。すぐさま参上致します』

京都の北方を守護する水の性を持つ女神、高淤の神(たかおのかみ)。

秦は特別に許可された名を呼び、神の機嫌を損ねぬように出発の挨拶を済ませた。

『行って参ります。』

この言葉を最後に秦はこの世界から姿を消した。

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