少年陰陽師
□闇の呪縛を打ち砕け
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―ある無人屋敷―
「来たか秦!」
銀月は昌浩らの邪魔にならないように昌浩を援護していたが、秦が到着し降りると同時に周囲の警戒を強める。
『ありがと戒、銀月。援護を頼む。』
「「御意」」
秦は瞬歩で昌浩と騰蛇を庇うように立ち、窮奇を睨みつけた。
「お前は何者だ!?」
騰蛇は昌浩を庇いながらこちらを睨みつけ、少しでも近づけば攻撃を仕掛ける勢いだ。
『話は後だ…十二神将騰蛇。まず窮奇を追い払う』
「ククク・・・貴様に出来るかな」
窮奇はニヤリと笑い妖気と瘴気を辺りに散らしめる。
『蒼緋、紅架、翡翠、雑魚を頼む。緑榛は昌浩様と騰蛇の周りに結界を。』
「御意」
秦の周りには四人の男女が現れ秦に従う。
『では始めよう』
秦は、すさまじい霊力と殺気で辺りにいる膨大な数の妖を近づかせないようにして詠唱に入る。霊力に怖がっていた妖は一匹が飛びかかったことにより次々に飛びかかり式神達に薙ぎ払われる。
『破道の五十四"廃炎"』
炎は円盤状のまま放たれ、周りにいた凄まじい数の妖怪は一瞬で灰になる。
『…五十四位じゃ無理か。仕方ない』
<"包囲"、"浄楚">
『結!!』
秦は青い四角い結界の中に妖怪を数匹ずつ閉じ込める。後ろにいる昌浩からは「凄い…」という声が聞こえた。
『滅!!』
印を結んでいる右手を下に振り下ろすと結界と中にいる妖怪は消え失せ、窮奇一匹になった。秦は外側から通り抜けができる結界を窮奇に仕掛け、戒と銀月はそれぞれの力で致命傷を与える。
『戒、銀月退いて!窮奇、さっさと逃げ出した方が良かったって後で後悔しろ。闇に誘え、白銀!』
窮奇から数m離れた所から刀を横に振り、夜の闇の空間を開き、窮奇の真後ろに繋げ、そのまま突き刺した。
<グシュッ!!グッ…ギャァアアア!>
「ぐっ…何をやった!?貴様ぁ!次は……、っ喰ってやる!!」
窮奇は弱くなった結界を破り闇夜に姿を消した。
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