少年陰陽師

□鏡の檻をつき破れ
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「秦、後ろから六合と白虎が追ってきてるぜ」

『気にしないで、後で報告する手間が省ける』

「そろそろ着くぜ、準備はいいか?」

『翡翠、あそこで闘うわけにはいかない。出来るだけ追い返せ』

東三条殿に近づいていく度、ビシビシと妖気があたる。東三条殿に張ってある結界は、外にいる妖のせいでおおきくたわんでは戻りを繰り返していた。

『寒…涼しすぎ。っ、あれは』

「窮奇だな。行くぜ!」

翡翠は窮奇と結界の間に大きな竜巻を造り上げ、その真ん中に秦を降ろすと竜巻に雷を纏って窮奇に突っ込んでいく。

『緑榛、彰子のもとへ行き中から東三条殿に結界を張れ』

「御意…秦、気をつけろ」

現れた四神・玄武は結界を通り抜け彰子のもとに向かった。


数秒後

「ちっ、逃がした…わりぃ秦」

『大丈夫、目的は追い払うことだし、なんの準備もなかったから助かった翡翠。戒、銀月追え』

秦の影から出てきた二匹は指示に従って暗闇のもとに消えていった。そして翡翠と秦は妖が完全に消えたかを確認する。

「消えたな…。ご到着だ」

翡翠の声とともに現れたのは白虎と六合だった。

『遅かったな、もう窮奇は追い払った』

「何!?窮奇が来ていたのか!」

『正確には窮奇の影だ』

「…」

『白虎、太陰に風送ったか』

「ああ、一度送った」

『悪いんだけど、朝まで此方にいると伝えてくれ。それと今、窮奇を式が追尾してるから、他に異邦の妖異が近くにいないか見回ってから屋敷に戻ってほしい』

「分かった」

白虎は太陰に風を送り始めた。

「…何故、秦は分かった?」

『夢を見た…詳しくは戻ってから話す。翡翠、表を頼む。』

「分かった」

秦は結界を通り抜けると姿を消したまま、彰子の部屋に向かった。

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