TS長編部屋
□これは疲労
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ひょこひょこ。
綺麗な金髪が揺れる。
幼い顔立ちをしているが、リュウ達と大して歳が変わらないということには毎回驚かれる。
この場にいる蒼と紫も例外では無かった。
「さすが、ファレル。戦闘馬鹿なんだね!」
「るせぇ…戦闘馬鹿ならライガ、お前もそうだろ!」
真紅の髪の青年、ファレルはくるんくるんの金髪を上から圧迫する。
縮む!と必死に抵抗しているライガの様子からは、とても青年らしさなど見受けられなかった。
「ねぇ、リュウ…ほんとにリュウやファレルと同い年?」
キュッと真っ黒な青年の手を握りながら問うてみる紫の少年、レウ。
反対の手には蒼い青年、シアルの手がある。
「うん、あれでも一応…ね…」
蒼い綺麗な瞳を半分隠し曖昧な笑みを浮かべるリュウ。
何故、ライガが共に行動しているのかというと、それはプレイヤーバトル、通称PVへと手合わせに行っていたリュウ御一行。
その途中、ふと油断してしまったシアルが負傷してしまい、病院へ行かなくてはならない羽目になってしまった。
しかし、ダークロード二人に対して護衛一人で街中を歩くというのは大変危険であり、どうしたものかと考えていた時、ちょうどライガが現れた。
自ら護衛を名乗り出てくれたライガの好意に素直にあまえることにし、今に至るのだ。
自己紹介も足早に終わらせ、一同はシアルの腕を診せるため病院へと足を早める。
「っ……はっ……」
ワイワイと賑やかな中、荒い息遣いにファレルは気がついた。
くるりと後ろを見てみると仲が良さそうに手を繋いだ三人。
黒い衣装の二人は、ふいに振り返ってきたファレルにぱちくりしていたが、一人は明らかに様子がおかしい。
「シアル…?」
俯き、表情が見えない。
「シアルー?」
ライガはシアルよりも頭一つ分身長が低いため、少しかがむと容易に覗き込むことができる。
覗き込もうとするライガの気配に気付いたのか、シアルは顔は上げないままライガの肩にそっと手を置き、それを阻止した。
「っう……」
肩に手を置いただけで小さく唸るシアルをファレルは見逃さなかった。
「…シアル、ちょっと腕見せてみろ!」
強引に、しかし傷に触らないようにシアルの腕をとり、袖を捲る。
抵抗しようとしたが、もう片方の腕にはレウがくっついており、それは叶わなかった。