シフォンケーキ

□リアル鬼ごっこ改善版
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今日運が悪かった



「何でおれが…!」

そう呟いたのは部活の格好をし、両手にゴミ袋を提げた氷帝学園二年テニス部所属の日吉若だ。

彼は本来なれば今頃、部活で汗を流している頃だろう…いや、『いた』頃だろう


「当番でもないのに…」

はあ、と吐かれた息は虚しくその場に溶け込んだ





*
事の起こりは放課後になったばかりの生徒がまばらに活動を開始するあの頃…運が悪くも日吉は級友に当番の交代をせがまれていた


「だから、何で俺なんだよ…」

「頼むって!もうお前しかいないんだよ!!」

この通り!と両手を合わせ頭を下げる友人に日吉は本日何度目かの溜め息を吐いた

「三橋はどうした…アイツも今日当番だろ?」

「彼女と約束があるからって先帰った」

あっけカランと言う級友に日吉は怒りを通り越して呆れた

「何で止めなかったんだよ…」

「止めようとしたさ!、でもそれより早くに逃げられた!」

「威張って言うな…(逃げ足だけは速いんだったなアイツ)」

そういや元サッカー部だったかと思い返していると級友はまたも頼む!と懇願。その様子に日吉は眉を顰めた。

色恋沙汰に自分は鈍いのは自分が良く自負してはいる。しかし、それを理由に当番を…と言うのは些か違うものがある

「携帯にでも電話しろよ、そして今すぐに連れ戻してやらせろ」

「…鬼だなお前」

「…お前実は俺に押し付けたいだけだろ」

「何でそうなる!?」

あんまりだ!と嘘泣きするのを一瞥して、面倒だとばかりに部活の荷物を持って部屋を出て行こうとする

「あ、おい!ちょっと待てって」

「なんだうっとおしい…」

「酷っ!!なんだよー友達だろー見捨てんのかー?」

その言葉に日吉はピタリと立ち止り級友の顔が明るくなっていく。そんな事を知ってか日吉は顔だけで振り返った

「見捨てられるような友は持っていない」

「…凄いかっこいいけど、お前遠まわしに俺を友達じゃないって言ってるだろ」

「ほう、そういうふうにお前はとらえるか」

驚いたとばかりに大げさにふるまう日吉の様子にいよいよ級友も最期だとばかりにまくし立てる

「頼むってマジで!」

「だから何で俺なんだよ、もっといるだろ…山下とか」

「アイツ家の手伝いだって先帰った」

「篠塚…」

「アイツは塾だって一本早い電車で帰った!」

「土屋」

「今日早退しただろ!」

「…宮川」

「…それ隣のクラス」

「そうだった…」



「それで当てもなく聞きまわり、俺が最期にまわってきたと…そういうわけか」

「そういうわけだ」

「帰る」

「帰んなああああああ!!」

「五月蠅いな…」

「だって日吉が〜」

「だってじゃない…」

「頼むってホントに!もう日吉しか…「その話はさっきも聞いた」…」

やっと静かになったと少し同情を覚えながらも時間を確認し、遅れた部への言い訳とそのの練習をどうするかと考えていた


と、その時友人の携帯が光った

それを確認すると級友はにやりと笑い、日吉の背筋に何か冷たいモノが走った

「…ひ・よ・し・く〜ん」

(キモ…)「何だ」

「今日の部活はどうやら中止のようだよ?」

「?!、な…!」

そんなはずは、と掛っていたカーテンを開け外を見ると…晴れやかな空が広がっていた


そしてその下では、運動部が活発に活動をしている。もちろんテニス部も然り

「…どこが中止なn「じゃあよろしくな〜」は?!」

視線を戻すといつの間にか日誌は日吉の机に、そして級友はクラスの扉を開けそれじゃ!と爽やかな笑顔と共に去っていった



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