シフォンケーキ
□ある日の休日
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「あー!!キッツゥ〜〜」
ある日の休日
此処は氷帝。ちなみに今日は日曜日、世の学生たちは思い思いの休暇を過ごしていることだろう……一部を除いて
「ったく跡部の奴!今日は休みのはずだろ?!」
「しゃーないやん…」
華麗なムーンサルトを決めながら眉間にしわをよせて文句を言っているのは、向日岳人。そのダブルスパートナーである忍足侑士はそんなことを俺に言われても…という心情。
「ったく少しはおとなしく練習しろよな」
そこへやってきたのは宍戸亮と鳳長太郎。
その言葉を聞いた向日は頬を膨らませた
「だってよー!!今日は新作のゲーム進める気満々だったのに……」
「ゲームなんていつでも進められるやろ…」
「わかってねーな!!その日の気分が大事なんだよ」
「気分ねぇ(いつも乗り気なくせに…)」
「…んだよ宍戸その顔」
「別に」
「ま、まあまあお二人とも…そう言えばもうそろそろ切り上げるって跡部さんが言ってましたよ?」
鳳の言葉にパッと顔を綻ばせる向日…
「まじかよ?!」
「え…ええ」
ものすごい剣幕(笑顔)で迫ってきた向日に鳳はたじたじ。
「お取り込み中すいません」
「!、わっ!!」
「!、ぅお?!」
突然ぬっと出てきた日吉に向日と鳳は同時に尻もちをついた
「ひひひひひっひ日吉?!」
「誰やねん『ひっひひよし』て…」
「ってお前ツッコむとこ違うだろ?!」
「いいいいいいきなり出て来んなよな!!!」
「何度も呼びましたよ…………心の中で」
「「「「聞こえるか!!」」」」
「まあそれは置いといて、早く集合して下さいよ…部長がなんかこっち見てるんで」
日吉の指をさした方向を追っていくとそこには苛立ちを隠そうとしない、部長の跡部景吾の姿があった。
五人がこちらを向いている事を確認したのか、跡部はお付きの人と言っても過言ではない2年の樺地宗弘に何かを命じ、樺地はそれに答えるようにメガホンを差し出した
(ん…メガホン?…――まさか?!)
「ちょっ…ま、待って下さい!!」
『早く来やがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
キ――――――――――――――――――――――――――ン
(っつ〜遅かったか…)
日吉の叫び虚しく、近所迷惑&部員迷惑間違い無し!…否、大大大迷惑の大音量の声が響き渡った。
その甲斐あってか、日吉を先頭に一目散に集まっていった。
「っち、手間掛けさせやがって…」
(じゃあやるなっつーの!)
向日の心の叫び虚しく、跡部は続ける
「よーし、今日の練習はここまでとする。皆汗の始末を怠らないように!…それからレギュラー陣はミーティングがあるから、サボんじゃねーぞ」
「くそくそ跡部!なんで俺に視線送りながら言うんだよ!!」
「テメーが一番サボるからだろーが!!」
「ジローはどうした?!ジローは!!。アイツは俺より常習犯じゃねーかよ!」
「捕獲済みだ」
「「「「ジロ―――――!!!」」」」
ほれっと樺地の背中を見せるとぐったりとしたジローの姿が…もちろん寝ているのだが
「見当たらねーと思ったらそんなとこに…」
「よし、解散!!」
跡部の一言によって、各々散らばっていくなかレギュラー陣は専用の部室に集まり、ミーティングが開かれていた…若干名参加しているのか定かでないが…
「…それじゃ、来週の試合オーダーはこれでいく…何か異論はあるか?」
跡部はメンバーを見渡すが、誰一人として首を縦に振るものは居なかった
「あー来週は俺は非番かいな」
「変わりにジローが出る、まあ上手くやってくれるといいが…」
「へーきへーき!!俺今からワックワクだC−」
完全に目覚め、興奮しきっているジローを余所に宍戸が跡部に向き直る
「んで、これで終わりなんだよな?ミーティング」
「ん?、ああそうだお前等もういいぞ」
その一言を聞いて、宍戸が声をあげる
「あー腹減ったー!」
そんな飼い主、ゴホンッ…パートナーの声を聞いた大型犬…失礼。鳳はそう言えばと宍戸に進言した
「近くの公園に今、出店が来てるらしいですよ」
「よっしゃ!ナイスだぜ長太郎。帰りに寄ってこうぜ!」
「あ、俺も俺も〜」
宍戸の案に乗ったとばかりに手を挙げたのは向日だ。
「ちょお待ち、さっきまでのゲーム精神はどないしたんや?!」
「さっきはさっき、今は今!それにゲームなんていつでも出来るし!!」
「待て待て待て―――い!!そのセリフどっかで聞いたことあるんやけど!!」
「気にすんなって!!ハゲるぜ侑士」
「……なんでやねん」
何やかんやで全員乗り気。もちろん跡部も強制的に連れて行かれた。まあ読んで字のごとく強制連行というやつだ。抵抗むなしく公園に連れて行かれ、周囲の視線を存分に浴びながら賑やかに出店へと向かっていった。
(支払いはカードで)
(黒カード?!何ちゅう物だしとんねん!!)
(おーい店主泡吹いてっぞー)
(おじさ――――ん)