ショートケーキ

□Amor.. o Filho de Deus
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「ねえねえ知ってる?3月5日はサンゴの日なんだよ」

「サンゴの日?」

「そうそう!!このサイトで知ったんだけど、誕生花とか誕生石とか色々載ってるんだよ〜」

「へぇ〜」

3月5日この日は桜乃の恋人である立海の部長幸村精市の誕生日だ。
桜乃はもちろん祝うため、プレゼントを用意しようとしているが、なかなか良いものが思いつかない様子。

(誕生花かぁ、これなら幸村さんも喜んでくれるかな…)

どうやらその悩みはもう解消されたようだ。


3月5日当日。
桜乃は東京の青学から遙々、神奈川の立海に来ていた。
どうやら幸村と待ち合わせをしている様でその手にはプレゼントと思われる袋を持ち、先ほどからそわそわと落ち着かない。

そんな様子を遠くから眺めている美麗な少年が一人……

「ふふっ可愛いな」

そう彼こそ、桜乃の恋人であり、待ち人である幸村精市

(そろそろ行かないと、向こうから来そうだな)

さてと、と歩き出し、桜乃の元に向う。

「桜乃ちゃん」

そう呼びかければ桜乃は声のした方へ勢いよく振りかえり、嬉しそうに笑みを浮かべた

「幸村さん!!」

「ごめんね、待った?」

「いいえ、私も今来たところですから」

「クス」

「?」

幸村は思わず噴き出してしまった。桜乃は
そんな幸村の様子を不思議そうに見ている

(今来たなんて、嘘ばっかり…俺は知ってるよ…?)

幸村は敢えてその言葉を飲み込んだ

「そういえば桜乃ちゃん、話って何だい?」

「あ!そうでした。ゆ、幸村さん!!」

「ん?」

「お誕生日おめでとうございます!!これ受け取ってください」

「!!」

正直驚いた彼女が俺の誕生日を覚えていてくれたなんて…

「ありがとう。見てもいいかい?」

「はい、どうぞ」

幸村は袋の中をそっと覗いた

「!、これは…クンシラン」

「すごい幸村さん…判るんですね」

「まあ、だてに土を弄っていないからね」

「流石です…あ、幸村さんクンシランの花言葉ご存知ですか?」

「?、いや」

「クンシランの花言葉は『幸せを呼ぶ』だそうです」

「!!」

「幸村さんに幸せが訪れますようにと思って…」

ああ、この子は…俺の心を掴んで離さない。

ぎゅっ

幸村は桜乃を優しく抱きよせた

「ゆ、幸村さん?!」

桜乃は真っ赤になりながら抵抗するが立海の部長はビクともしない

「幸せを呼ぶ…か」

「え?」

「俺はもう幸せを呼んでもらったみたいだな」

「どういう事ですか?」

「俺にとっての幸せは桜乃ちゃ…桜乃といっしょにいることだからね」

「え、幸む…精市さん…///」


辺りは赤く染まっていたが、桜乃の顔が赤いのはそのせいではない
長く伸びた二つの影は夕の日を遮るように一つに重なった









クンシラン―貴い、幸せを呼ぶ
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