銀×猫土@
□発覚
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日も沈みかけてる夕方。
この辺りでは珍しい、古ぼけたアパート。
俺はそのアパートに疲れきった顔で向かっていた。
(あー…またにあのストーカー女来るとは…あいつまじ怖ぇ…俺の家までつけてるってゆー噂まで立ってるしよぉ…)
ストーカー女とは、銀時に一目惚れし、しつこく職場(バーテン)に出入りしては、強烈なアピールしてくる女だ。しまいにはずっと見てたいとかどうとかで、今はバーテンで働いている。人の迷惑も考えてほしいといつも言っているのだが全く効果なし。本当に参ったものだ。
「・・・あ。そういえばトシの餌にマヨかけてくんの忘れた・・・?まー、そんな時もあるよね!うん。」
トシとは6ヶ月前、家の前で死にそうなところを助けた黒猫だった。
だが性格がひどく、ツンデレ(というかツンしかないのだが)で、ぜんぜん懐かないし、こっちから近寄っても頭もろくに撫でさせない。極め付けは、極度のマヨラーで、キャットフードにマヨネーズをかけないと食べないという猫からかけ離れている性格。
(っつか全然猫じゃねーよアレ。もう人間だろ。人の言葉ぜってー分かってるし。マヨって・・・あいつほんとおかしいだろ。医者に見せても別に問題ないとは言ってたけどな。)
と思いながら、アパートの階段をのぼっていく。最上階(といっても3階だが)なので、毎度毎度仕事終わりの後上るのが面倒だった。
「帰ったぞー。」
何となく言ってみたが、誰かいるわけでもなく、猫が答えるわけもなく。ましてや出迎えにも来ない我が猫・・・。
「だああああああっ!出迎えにくらいこいよこのツンツン猫がああああ!」
まぁいつもの事と言えばいつもの事なのだが。なんか怒鳴りたくなったんだよ!色々とあるんだよ銀さんにだって!
廊下を歩いていると。
「にゃあ」
「あぁ?今更遅いんだよこのバカ猫・・・」
だが少し声色は優しくなっているのが自分でも分かった。正直言うと少し嬉しかった・・・とか思ってねぇしっ
「にゃあああああああああああぁぁ!」
「へ?」
にやけかけていた 時だった。
思いっきり、顔面に猫キックをくらった。
「いっ・・・てぇぇぇぇぇぇぇえ!」
「みゃ。」
訳も分からずに前方の黒い塊を睨みつける。だが、なんの効果もなく。黒猫は、リビングに大股でかえっていった。
「俺なんかしたっけ?何もしてねー・・・ 、あ・・・。・・・まさか、マヨかけてくんの忘れたから?え?そうなの?そんなに根に持ってんの?」
「みゃっ!」
どうやらそのだったようだ。
うちの猫は、餌にマヨネーズをかけないと猫キックするのか?・・・いや、他に理由があるのか?だんだん疑問が高まってきた。
「・・・よし、普通の餌食べさせてみるか。っつか俺の今の言葉おかしかっただろ。普通の家庭の飼い主からは考えられない言葉だろおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
思わず頭を抱えて叫んでしまった。