novel
□ハート型
1ページ/4ページ
「あかね、ごめんね。」
かすみさんは、真っ白な壁に囲まれたベッドに横たわり、力なさげに言った。
「大丈夫。気にしないで、お姉ちゃん。それより、ゆっくり体休めて。」
あかねはかすみさんに布団を掛けながら優しく微笑んだ。
かすみさんが風邪を引いたのは2週間前のこと。2月に入ってすぐのことだった。
しかし、寝込むほどの具合ではなく、軽い咳が続いているという感じだった。
なかなか風邪がよくならないかすみさんに、なびきが、「夕飯の片付けは私がやるから、お姉ちゃんは休んで」と気遣い、かすみさんを早めに寝かせた。
咳に加え、微熱が下がらなかったからだ。
あかねは、洗面器や薬を持ってかすみさんの部屋に行くと、あれやこれやと世話を焼いていた。
かすみさんの様子が変わったのは翌日だった。
起きてこないかすみさんを心配して、あかねが部屋に行くとかすみさんがグッタリとしていたらしい。
病院に運ばれたかすみさんは、緊急入院となった。
こじらせた風邪が肺炎にまで悪化していたからだ。細い腕にささった点滴の針が痛々しい。