novel

□ハート型
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「あかね、ごめんね。」


かすみさんは、真っ白な壁に囲まれたベッドに横たわり、力なさげに言った。

「大丈夫。気にしないで、お姉ちゃん。それより、ゆっくり体休めて。」
あかねはかすみさんに布団を掛けながら優しく微笑んだ。

かすみさんが風邪を引いたのは2週間前のこと。2月に入ってすぐのことだった。
しかし、寝込むほどの具合ではなく、軽い咳が続いているという感じだった。
なかなか風邪がよくならないかすみさんに、なびきが、「夕飯の片付けは私がやるから、お姉ちゃんは休んで」と気遣い、かすみさんを早めに寝かせた。
咳に加え、微熱が下がらなかったからだ。
あかねは、洗面器や薬を持ってかすみさんの部屋に行くと、あれやこれやと世話を焼いていた。

かすみさんの様子が変わったのは翌日だった。
起きてこないかすみさんを心配して、あかねが部屋に行くとかすみさんがグッタリとしていたらしい。
病院に運ばれたかすみさんは、緊急入院となった。

こじらせた風邪が肺炎にまで悪化していたからだ。細い腕にささった点滴の針が痛々しい。
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