D’sバレンタイン

□第4章 知らないよ
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「あっ、ラフェス。独り言ですか。」




誰かに話しかけられたらしい。

後ろを見るとワゴンを押している少年が目に入った。



皿の数が多すぎて持ち切れなかったらしい。




「なんかワゴンが似合うな…。お前って。」




そう言いながらアレンのワゴンに乗っていたローストビーフの塊を取った。




「甘いものより、やっぱり肉だよなぁ。」




赤毛は幸せそうに肉にかぶりつく。



「あっ。勝手に食べたんですね。自分で取ればいいじゃないですか。」



普段ならもっと噛みついてくるだろうが、今日はさすがにこの量だ。少年は穏やかだった。


「分かったよ。自分で取りに行く。じゃあ。」



アレンと別れてさらに奥へと進んだ。



**************



さすがに人が多い進むのも一苦労だ。



やっと目的の場所につく。


肉が並んだテーブル。

そしてさっさと食べ始めた。




「よう。おはよーさ。」




声をかけられた。


「ああ。気付かなかった。」


肉に夢中だった赤毛は、隣に立つ赤毛に気付かなかった。



「なんか落ち込むさ…。ほんとついてないさぁ。今日は…。」



軽い気持ちで答えたつもりだったが、結構傷ついたようだった。



「なんかあった?」


「あー、聞いてくれる?それがさあ…。」



赤毛の少年はラフェスが『うん』と答える前に話を始めた。


確かに散々だ。


しかも誰もそのことを聞いてやらなかったらしい…。



「へえ。大変だったな、ラビ。」

「そうさあ…。ラフェスだけだよそう言ってくれんのわ…。」



相当弱っているらしい。

哀れに思えたので、肉を皿に取ってあげた。



「ほらこれでも食べて元気出しな。」

「ありがとうさぁ。」



少し元気になったらしいラビは黙々と肉を食べ始めていた。




それに倣って、ラフェスも負けじと食べた。
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