D’sバレンタイン
□第4章 知らないよ
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夢中で肉を食べ続けていると、当たり前のことながら肉は残り僅かになってしまった。
「さすがさぁ。」
赤毛よりも先に食べるのをやめていたらしいラビは、空っぽになった皿を見てわざとらしく声を上げた。
『だいぶ元気になったみたいだ。よかった。』
さすがにラビが落ち込んだままだ調子が狂う。
まあ、その気まずさが手伝っていたとは言え、流石にこのままにしておくのは気が引けた。
「ちょっと厨房行ってくる。まだ食べ足りないし。」
ニヤッと笑いながらラフェスは言った。
「よく食うさぁ。ラフェスは。もう俺はいいや。」
と言って、満面の笑みを浮かべながらラビは他のテーブルへと向かって行った。
そして、ラフェスも厨房のほうへと肉の追加を取りに行った。
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赤毛が厨房へと消えた後。
食堂の入口に置いてあるボードを1人見ている男がいた。
そこには今夜のパーティーのことが書かれていた。
『Welcome to Xalentine'sDay Party
Chef ジェーリー リナリー・リー …』
男は驚いた。
『Chef』の欄、一番最後に書かれていた名前。
しっかりとした字で書かれたジェリー。
かわいらしい字で書かれたリナリー・リー。
そして…
面倒臭そうな字で書かれた
『ラフェス・フォード』。
男は首を傾げたい気持ちだった。
「なぜだ?」
男は小さくつぶやいた。
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