D’sバレンタイン
□第4章 知らないよ
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騒いでいた兄がやっと静かになったので、自分も何か食べようとしていた。
チョコのお菓子があるテーブルに向かう、黒髪の少女。
少女の目があるものをとらえた。
フォンダンショコラ
赤毛の少女が作っていたものとは少し違っていた。
そしてあることを思い出す。
そういえば、それは1つではなかった。3つだった。
不思議に思ったが、何てことない。
自分は2つ食べようとしていたのかもしれない。
でも…
『誰かにあげるんだ。』
直感的に思った。
テーブルに並ぶそれではない、わざわざ自分で作ったそれを渡す。
いったい誰なのだろうか。
『また質問が増えちゃったわ。』
思わず笑みがこぼれる。
質問ができたのが、なぜか嬉しかった。
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肉をテーブルに必死に並べている人物が見えた。
そしてさっさとまた食べ始めているようだ。
その人物がこっちに気付いた。
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「あー、神田。」
「…。」
「返事無しかよ。」
そう言うと何処かへいなくなった…
と思ったら、赤毛は神田の隣に立っていた。
何かを持ってきたらしい。
そばと灰色をした物体。
それを無理やり神田に持たせた。
「何だそれは?」
「見ればわかるだろう?そばとケーキとクッキー。」
さっさと言って目の前の肉にとりかかる。
かなり集中してるらしい。
『これ以上こいつに話しかけても仕方な
い。』
2人は静かに、そして淡々と食べ続けた。