D’sバレンタイン

□第4章 知らないよ
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流石にこれが限界だろうというところまで食べ続けた。他の人用に、結構…。
いや、少しは残した。



隣でそばをすすっていた奴も、それ以外に食べる物がないらしい。


そばはすっかり無くなっていた。




「お前らどんだけ食ってんだよ。」



少年が話しかけてきた。



少年は赤毛のそばに椅子を持ち出して、食べ続けていた2人を見物していたらしい。



少年の皿には、お子様ランチのようにハンバーグやスパゲッティーがきれいに盛られていた。


少年が盛りつけたわけではないことはすぐに分かった。




「ティモシー!そんなとこにいたのね?」




すたすたと少年に近づいてきた人物。


「何だ。エミリアこそドコ行ってたんだよぉ。」



少年は人の心配など露知らず。
のんきにスパゲッティ―をすすっていた。



「ロン毛の兄ちゃん、そばしか食べれないのか?だっせぇ〜。」



近くに立っていた神田のほうを指差しながらティモシーは笑いながら言った。


でも、相手が悪い…。






「何だと餓鬼?」






冗談だというのにあいつは…。

鬼のような形相で少年を睨み付けている。




少年も悟ったらしい。




そのあとは無駄口をたたかずに食べていた。




**************




少し離れていたところに立っていたエミリアが、赤毛を手招きした。




「今日はありがとうございました。おかげでこれも作れたし…。」




エミリアは小さい袋をラフェスに見せながら言った。



「あっ…。でもお礼言っても訳が分からないわよね。」



ちょっと恥ずかしそうにしながら言った。




「いや。ちゃんと分かってる。でもお礼を言われるのは憑神のほうだよ。」



一瞬不思議そうな顔をしたが、エミリアは理解したようだ。

少し周りをきょろきょろした。



見えない相手を探しているらしい。





「憑神。」





少年に聞こえないぐらいの声で言った。

それはするするとこちらに近づいてきた。



『何ですかい?』



憑神は不思議そうな顔をした。



「エミリア。ここに憑神がいるよ。」



憑神のほうを指差しがら言った。

憑神も理解したらしく、ラフェスの方からエミリアの方へと向きを変えた。




「本当にありがとう。」




エミリアは小さくお辞儀をしながら言った。



「坊主も喜ぶだろうねぇ。」



少しからかうように言うと、エミリアはほんのり顔を赤らめた。




憑神と赤毛は満面の笑みを浮かべていた。
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