Short*Short

□真冬の夜の夢
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 白く曇った窓を、指が滑っていく。その軌跡の向こうで、車が行き交っているのが見えた。指が窓をなぞっている間にもうひとつ別の指が伸びてきて、同じように窓をなぞり始める。
 窓に綴られたのは、二つの名前。その間に支柱が立てられ、降る雪から避けるように支柱に屋根がついた。最後に、屋根の先端にハートを飾れば出来上がりだ。
 できたての相合傘を前に、当の二人はうふふ、あははと笑いながら、互いに冷たくなった指先を暖めあう。正に聖なる夜にお似合いの、幸せなカップルだ。
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