The big fours!
□The big fours! 3
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「くっ…!なんだこの天気!」
アシュアルは、101番道路のギリギリ残っている陸地を飛び移りながら走っていた。
空からこちらへ向かっている途中では日照りが強いと思っていたのに、到着した途端急に大雨!
異常気象とは聞いていたけれど、ここまでとは…。
「これじゃあ、人がなんとかとか言う前に自分が流されちまう…!」
クルミルの"いとをはく"で近くの木にしがみつくと、ようやく辺りの様子がまともに見れた。
「すごい雨だ…。ほとんど陸地が無くなってる。ここら辺の人は皆、避難したのかな」
モンスターボールからトロピウスを放ち、その背中に飛び乗る。
フシギバナの造り出した"ひかりのかべ"を傘代わりにして辺りを見渡すと、大雨で洪水になった道路のポケモン達が流されていくのが分かった。
「危ない!…フーディン、"テレポート"!」
…セチュラル地方を出る時に、リリシアの弟――ユオから貰ったフーディン。
『きっと役に立つと思います』と言われて貰ったが、本当に役に立つとは。
流石、天才。その才能を怨まれるだけある。
ユオのフーディンが、"テレポート"でポケモン達を移動させる。
すごい。これは効率が良い。
この調子で他のポケモンや人も―――
「アシュアル!危ない!」
「!!!」
ザァアアン!と耳が割れる様な音が鳴り、溜まった雨が津波のように押し寄せてきた。
間一髪で避けられたが、声がなかったらどうなっていたことか。
「あ…ありが、とう」
「もう!心配したよアシュアル…」
そう言ってアシュアルのトロピウスの上に乗ったのは、リリシア。
「なんでここに?リリシアはムロタウン付近じゃ?」
「…水浸しで、付近も糞もないよ。あと、ランクルスもこの雨で疲れてきちゃったし。いろいろと限界」
ランクルスをモンスターボールへ戻し、リリシアはアシュアルの背中に抱きついた。
「…今は、こんなことしてる場合じゃないよ」
「…でも、そんなこと言っても許してくれるんだよね。…アシュアル好き…大好き」
「ふざけてる?」
「んーん、全然…」
アシュアルは背中にリリシアをくっ付けたまま、フーディンがポケモン達をテレポートさせているのを傍観していた。
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