エリナと翼

□第1話
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期末テストが終わり、夏休みまで後2週間となったある日高校から帰宅した私、川本エリナと兄、聖は母親からとんでもないことを聞かされた。

「来週、引っ越しするから。」

「「えっ??」」

「どういうことだよ?」
いつもは冷静な兄が聞き返す。兄は都内でも有数な高校のトップ校の生徒会長である。
妹の私から見ても整った顔立ちをしている兄は学校中の注目の的だった。ちなみに1コ違いの私も同じ高校に通っており、学級委員をやらせてもらってる。
顔は・・・兄とはいかないけれど毎日告白されるくらいには整っているのだろう。

そんなことより・・・

「お父さんがね、今度地方で研究をすることになったの。」

父は生物学者で今は大学の教授をしている。

「今度引っ越す家の前には海があって、自然も多いんですって!!」

「ママ!ちょっと待ってよ!!学校とかのこともあるし・・・。」

私が聞く。

「あ〜、そのことは大丈夫よ。もう提出しちゃったし。」

「え?」

「それでね、そこには・・・」

ここからは母親がずっと引っ越し先の話をしていた。

なぜ母親がこんなに喜々として話しているかというと、母親は自然のなかでたたずむ父親の姿がもう一度見られるということだった。
母親は昔、自然の中でいろいろな研究をしている父親に一目ぼれをして結婚した。
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